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「はやぶさ」「こまち」はなぜ連結して走るのか 欠点を上回る分割併合運転のメリット

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月28日 9時10分

 この発着枠の制限があるため、「こまち」「つばさ」を全て単独で運用できない。「つばさ」は単体運用があるけれども「こまち」は常に「はやぶさ」と併結する。併結しているおかげで「こまち」は乗り換えなしで東京~秋田間を運行できる。

 もう1つの理由は、運転士を効率よく運用できるためだ。「はやぶさ」「こまち」を例にすると、東京~盛岡間はひとりの運転士が乗務する。仙台駅で交代する場合が多いけれども、「はやぶさ」10両、「こまち」7両を合わせて17両編成をひとりで運転する。「こまち」の運転士は盛岡~秋田間だけ往復すればいい。

 また需要と供給の調整ができるという利点もある。東北新幹線の場合、東京~仙台間の需要が最も多く、北へ行くほど乗客が少ない。「はやぶさ」10両編成で十分。あるいは少し足りない。この区間に7両の「こまち」「つばさ」では足りない。そこで、17両編成で東京~仙台間の需要を吸収しつつ、秋田、山形、新函館北斗方面の列車を分割する。

 時刻表を見ると、途中の駅で分割しないまま、17両編成で運行する列車もある。それだけ需要が大きい時間帯といえる。「やまびこ」「はやぶさ」単体で17両編成の列車を見つけたときは、「こまち」「つばさ」用の車両を選ぶと、普通車でも4列座席になる。車体はひとまわり小さくなるけれども、窮屈な「3列の中央」がない。

●欠点もある

 連結運転は、駅のプラットホームや車両を効率的に運用できるほか、需給調整もできる。利用者は乗り換えなしで目的地に行ける。良いことばかりのようだけれど、欠点もある。

 1つはダイヤが乱れた場合の回復が難しいこと。例えば、東京行きの「こまち」と「はやぶさ」の一方が遅れて、所定の時刻に盛岡駅に到着しなかった場合は、連結にこだわると両方の列車が遅れてしまう。東京駅到着時刻が遅れると、大宮~東京間を共用している上越新幹線、北陸新幹線のダイヤに影響する。

 数分程度の遅れであれば、連結相手を待たせて連結し、大宮まで少し速度を上げて遅延回復する。しかし運転速度では回復できないほど遅れた場合、東京到着時刻を優先させるならば、遅れた方の列車を盛岡駅で打ち切り、連結相手を先行させる処置も必要だ。せめて大宮駅まで走って打ち切ってほしいけれども、運用上、急に運転士を用意できない。

 「はやぶさ」と「こまち」、「やまびこ」と「つばさ」の連結運転では、「こまち」と「つばさ」の遅延が発生しやすい。原因は天候だ。「こまち」の田沢湖線、「つばさ」の奥羽本線はともに奥羽山脈を越える地点で豪雨、豪雪が起きやすい。この問題を解決するために、田沢湖線、奥羽本線ともに長距離トンネルを新設する計画がある。

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