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「はやぶさ」「こまち」はなぜ連結して走るのか 欠点を上回る分割併合運転のメリット

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月28日 9時10分

 悪天とは無関係の平常時も懸念はある。連結作業の分だけ停車時間が長くなる。連結も解結も自動化されているけれども、「低速で進入し、いったん停止し安全確認」という手順は省略できない。東北新幹線では所要時間が延びるリスクと、乗り換えなしで直通できる利点を比較して、直通を採っているわけだ。

 鉄道では原則として“1つの区間に1つの列車しか存在できない仕組み”になっているけれども、分割、連結するときは2本の列車が存在する。そこで信号設備も特別に用意して、1つのプラットホームに2本の列車が存在できるシステムにする必要がある。これも直通運転のための投資だ。

 2本の列車を1本にすると、運転台は4つになる。同じ車両数で比較すると運転台の分、分割しない編成よりも定員は減る。新幹線は先頭車の鼻が長いため、定員減少が目立つ。「はやぶさ」に使われるE5系電車の中間車は最大定員98人、先頭車(普通車)は最大定員29人で、約70人も減ってしまう。

 サービス面では「乗り間違い」の懸念もある。青森へ行くつもりの乗客が秋田行きに乗ってしまったら困る。これは駅や車内の旅客案内を徹底するだけではなく、ハード面の工夫もある。「はやぶさ」「こまち」、「やまびこ」「つばさ」の車体は明確に色を変えている。「こまち」は「赤」、「つばさ」は「紺とオレンジ」で、「はやぶさ」や「やまびこ」の「ミドリ」と明確に違うようにしている。趣味的には同じ色でそろえたほうがスッキリカッコよくなるけれども、実用性重視である。

 さらに「はやぶさ」と「やまびこ」は1号車から10号車まで、「こまち」と「つばさ」は11号車から17号車としている。「こまち」と「つばさ」を1号車から7号車にすると、連結したときに1号車から7号車まで2両ずつ存在し、乗り間違いの原因になるからだ。また、「はやぶさ」「こまち」「つばさ」は全車指定席になっているから、自由席特急券で乗り間違える心配はない。

●新幹線以外も分割、併合運転は多い

 2つ以上の列車を連結し、途中の駅で切り離して運転する運用は「分割併合運転」と呼ばれている。多数の懸念、欠点、特別投資が必要とはいえ、分割併合運転は古くからあり、現在まで行われている。欧州では1つの列車で客車ごとに行き先が異なり、別の国に行ってしまう例もあるという。

 在来線特急では、寝台特急「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」が東京~岡山間で連結している。夜間は保守点検が必要なため運行本数を増やせない。かつては東海道線に夜行列車が多かったけれども、現在はその時間帯のほとんどをJR貨物列車に譲っている。

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