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美容室の倒産が増えているのに、なぜ「特化型店」は好調なのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 6時20分

 予約は自社アプリ、美容室の検索・予約サイト、電話の3パターンで受け付けているが、すべてが1つのシステムに連携され、リアルタイムで予約枠が管理される。システムが自動的に予約枠を判断し、予約を入れることで効率的な運営を実現しているのだ。

 「当社のビジネスモデルに似たヘアカラー専門店は増えていますが、10年かけて積み上げてきたシステムの精度は真似しづらいでしょう。当社では効率化している分、カラー剤などの原料にはむしろコストをかけていて、それが顧客満足度につながっていると思います」(原田氏)

 メニューを限定して全国に規模を拡大していることから、管理や教育の仕組みを整えやすい点も差別化ポイントになっている。カットと比べてカラーの施術はハードルが低いため、出産・育児などで一度現場を離れた美容師も採用しやすいそうだ。

●幅広い世代の髪質を改善する酸性ストレート

 2020年12月に創業し、sins式髪質改善酸性ストレート(縮毛矯正)を掲げる銀座の「sins」も、特化型で成功している美容室の一つだ。同メニューはsinsが開発したオリジナルの薬剤を使用した酸性ストレートで、2万6000~3万8000円(スタイリストによって変動)と高価格帯となる。厚生労働省が発表している平均的な縮毛矯正の価格(関東・甲信越で1万1675.5円、2018年)よりも大幅に高い。

 縮毛矯正は頻繁に行う施術ではなく、半年~1年に1回のペースが通常だ。にもかかわらず、約85%がリピーターであり、予約が取りづらい状況になっている。sinsを運営するsinsコスメティクス社(東京都中央区)の創業者であり、代表取締役の日野達也氏の予約は数カ月先まで埋まる人気ぶりだ。

 日野氏は、元々「ボブ専門」の美容師として女性客から人気を集めていたが、コロナ禍で「縮毛矯正」に路線変更した経緯がある。

 「どんな時代でも生き抜ける術を身につける必要性を痛感し、人口が多く美容室の利用率が最も高くなる50代女性をターゲットにしたいと考え、縮毛矯正のニーズに行き着きました。一般的な縮毛矯正はアルカリ性の薬剤を使用するのですが、傷んだ髪などは施術が難しく、より幅広い方に対応できる『酸性の縮毛矯正』に狙いを定めました」(日野氏)

 スタイリストの個性をウリにするカットよりも、「sinsの縮毛矯正」をブランド化することで、「人」に依存しないビジネスモデルを構築したいと考えたという。一方、既存の酸性ストレートの薬剤は扱いが難しく、高度なスキルが求められる。そこで、扱いが容易な薬剤を開発することにした。

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