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美容室の倒産が増えているのに、なぜ「特化型店」は好調なのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 6時20分

 約8年前から縮毛矯正を研究してきた知見を生かし、創業後は店舗運営と並行して薬剤の開発に注力。2021年6月に完成させた。sins式髪質改善酸性ストレートと名付け、自社で使用するだけでなく、全国1100店舗の美容室に薬剤を販売している(2024年9月現在)。

 薬剤の完成により酸性ストレートの提供がしやすくなり、スタイリストの教育コストもかかりづらくなった。2024年1月には店舗を拡張移転し、現在は日野氏を含む9人のスタイリストで運営している。

 「薬剤の開発には、総額で約8000万円の費用がかかりました。創業3期目(直近)の売上高は2億6000万円で、前期から約2.2倍の成長率です。新規のお客さまには酸性ストレートしか提供していませんが、競合が少なく売り上げを伸ばしやすいビジネスモデルです。縮毛矯正という高価なメニューゆえに、失敗したくない心理が働き、平均より高価であることが集客につながる側面があります」

●アニメキャラの髪色を再現

 2015年に創業した「Wille」は、推し活をサポートする美容室として、アニメファンを中心に支持を集めている。

 「開店時は一般的な美容室として営業していたのですが、近隣に多かったハイトーンカラーを提供する美容室と差別化を図りたいと考え、アニメキャラクターの髪色を再現する『2.5Dカラー』を考案しました。SNSに投稿していたところ、多くの人がそれを目的に来店するようになりました」(Wille 代表取締役 志賀尚之氏)

 最初に話題になったのは、人気アニメ『ラブライブ!』に登場するキャラクターの髪色を再現した投稿だった。“ことりベージュ”と名付けて紹介したところ、女性向けのキュレーションサイトに取り上げられ、そこからSNSを経由して多くの予約が入るように。その後も、『鬼滅の刃』をはじめ人気アニメのキャラクターの髪色を再現した投稿が注目され、「推し活特化型の美容室」として知られるようになった。

 Willeの場合、2階と3階の2フロアのうち2階は「推し活特化」としてフィギュアやアニメのポスターなどを飾り、3階は通常のフロアとして営業。推し活向けにとどまらない幅広いメニューを提供しているが、「推し活特化」を打ち出すことで集客に成功している。

 2018年からは、人気アニメとコラボした期間限定の「コラボ美容室」の取り組みも始まった。

 「コラボ美容室の実施は年に2回ほどで、そのアニメの人気キャラクターをイメージしたヘアスタイルやポイントエクステなどのメニューを提供するほか、店内もコラボ仕様に装飾します。アニメファンの方が興味を持って来店してくださり、新規顧客の獲得につながっています」

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