1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

入場料2530円の本屋が話題 「本を買う」だけでない、一風変わった本屋の「納得の体験価値」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月21日 6時10分

 例えばオーダーなしの場合は席料が1500円ですが、700円のコーヒー1杯をオーダーすると席料は900円に下がってトータルで1600円。コーヒー2杯を注文すると席料は300円にまで下がってトータルで1700円となります(2024年9月時点)。

 何もオーダーせずに読書だけをしても、飲み食いしながら読書をしても、お会計金額はそんなに変わりません。

 これはフヅクエ公式サイトの言葉を借りるならば「飲み食いの多い少ないにかかわらず、全ての方がいかなる気兼ねも不安も感じることなく、存分にゆっくり過ごしていただけるように設けている」という仕組みです。

 ゆっくり本を読みたいけど、何か頼まないと申し訳ない。ゆっくり本を読みたいけれど、次の人が待っているのではないか……。このような心配や気遣いを排除してくれる、すばらしい「一風変わった仕組み」と言えるでしょう。だからこそ本が好きな人たちを引き付けてやまないのです。

 「入場料を取る本屋」として紹介した文喫では入場料が「長居するためのチケット」のような役割を果たしていますし、「本屋の中に泊まれるホテル」は宿泊料がその役割と言えそうです。

●ユーザーをノイズから守ることが、提供価値の最大化につながる

 このような「一風変わった店」に共通するのは、本好きたちのニーズに対して愚直なまでに向き合っていること。「ユーザーにとってのノイズや障壁を取り除くことに振り切った」と言うこともできそうです。

 入場料を取ることで、あえて人を選んで混雑を発生させない。オーダーするたびに席料が安くなる料金プランにすることで、長く居座ることの申し訳なさを防ぐ──。

 ユーザー体験を最大化するために、あの手この手の「一風変わった」仕組みによって、ノイズから守っているのです。

 ビジネスを考える上で、新規事業のアイデアを具体化しようとすると、「こんな機能も欲しい!」「こんなこともしてみたい!」という目新しい発想に行き着いて、本当に届けたい価値を届けきるための工夫を見落としがちになることもあります。

 いつでもどこでも本が手に入るようになったからこそ、本屋は本のラインアップを充実させるなどの基本的な営みはもちろん、ユーザー体験を最大化する工夫を施すのも大切な観点になるでしょう。余計なノイズを取り除いてあげることは分かりやすい手段だと考えます。

 逆にユーザーにとっても、サービスのコンセプトが明示され、コンセプトを実現するための環境をしっかりと整えれば、通常よりも高い料金でも使いたくなる。つまり、ユーザー体験に価値を感じてくれるでしょう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください