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入場料2530円の本屋が話題 「本を買う」だけでない、一風変わった本屋の「納得の体験価値」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月21日 6時10分

●「お客のため」は「本屋のため」に、それは結局「お客のため」に

 ここまで、本好きな人(ユーザー)に向けて、その本屋体験の価値を最大化する上で、一風変わったユーザーを守るための仕組みがあることをお話ししてきました。しかし、それらの仕組みは決して本好きなお客だけのためにあるものではありません。

 入場料制やオーダーするたびに席料が安くなる仕組みは「本が好きな人たちの体験価値を最大化させながら、書店側のビジネスにも寄与する」というWin-Winの構図を生んでいます。

 付加価値を高めて、提供する価格も上げる。ビジネスとしては理想的な姿ですが、価格上昇がユーザーに受け入れられずにとん挫するケースは少なくないでしょう。今回ご紹介した仕組みは「本が大好きな人」にユーザーを絞り、彼らの体験を第一にサービスを構築したからこそ成立したものです。

 「サービスデザイン」をする上で大切になるのは、お客の体験だけでなく、サービス提供側、今回では書店側の体験も描くこと、そしてそれらが相反しないよう、うまく循環するような全体像を設計することです。

 ユーザーにとってうれしい仕組みが、店側の商売にも影響する。店側の商売が安定しているからこそ、ユーザーは遠慮することなく長居したり楽しめたりする。提供側の価値を最大限に享受できているというわけです。これはまさにサービスデザインのお手本のような仕組みですし、し好性の強い領域だからこそ、その想いを邪魔させないためにもビジネスモデルは重要といえるでしょう。

 ペルソナをしっかりと決め、商品そのものではなく、商品にまつわる体験もセットで考え、それがうまく回るようなビジネスモデルを検討する。「一風変わった本屋」と言いつつ、その仕組みは至って真っ当。今後の書店の一つのトレンドになりそうです。

●著者紹介:高階有人

株式会社グッドパッチ デザインストラテジスト/サービスデザイナー。大手SIerにてシステム開発やデジタルビジネス企画を経験。その後コンサルティングファームにて、官公庁向けのITコンサルティングや調査研究に従事。2021年にグッドパッチに入社し、現在はクライアント企業の事業変革やイノベーション創出を支援。暮らしや仕事になじんでいくサービスを生み出すことを信条としている。趣味は音楽とアイスランド。

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