アルゴリズムの「発展と影響」 現代のSNSマーケをどう変える?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 6時30分
そしてその帰結として、投稿の受容性がより二極化していくのではないかとも予想されます。言い換えると「ホームラン」と「三振」の数が増えるということです。
つまり、これまで多くのフォロワーを抱えていたアカウントが、そのフォロワーベースで投稿のリーチを広げていくという従来の安定的な戦い方が通用しなくなります。だからこそ、「ヒット」を打ち続けることの価値が増していくともいえるわけで、SNSのオーガニック×アドを組み合わせた運用の在り方が問われることになるでしょう。
先に述べたように、私たちのコミュニケーションは、メッセンジャーサービスや既存SNSのDM機能、さらにはDiscordのように、より小さく、より厳しく管理されたコミュニティにサイロ化(蛸壺化)する傾向が強まっていく見通しです。分散化が進み、徐々に不可視的になり、それらの結果として効果の計測が困難になっていく可能性もあります。
しかし、企業・ブランドがコミュニケーションメッセージを紡ぎ続け、生活者たちは消費のトレンドや自らのライフスタイルにまつわるUGCを発信し続けていく構図は、これからも不変であると思います。
そのため、ここまで論じてきたソーシャルメディアの転回の中で、私たちはアルゴリズムへの解像度を高め、クリエイティブを創意工夫し、新たなディストリビューションの回路への対応を進めていく必要があります。
見通しづらくなる生活者の価値観やコミュニケーションのトレンドを把握するためのリサーチ手法に不足はないか、再度検証することも求められるでしょう。それらの不透明性にどう対処するか、そのためのナレッジと実践がいま以上に肝要になる時代へと私たちはすでに足を踏み入れてしまっているのです。
●著者紹介:天野 彬(あまの あきら)
1986年生まれ。東京大学大学院学際情報学府修了(M.A.)。SNSのトレンドやマーケティング活用に関するリサーチ・コンサルティングが専門。電通デジタル プラットフォーム部門ソーシャルプラットフォーム部 兼 ソーシャルコネクトグループ所属。日経Think! エキスパートコメンテーター、明治学院大学社会学部非常勤講師。TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category審査員。主著に『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる―ショートムービー時代のSNSマーケティング―』(2022年、世界文化社)。その他、『情報メディア白書』(共著)、『広告白書』(共著)など。
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