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夫婦で家事分担、かえって忙しくなるナゾ 増え続ける「ステルス負担」の正体

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月7日 7時0分

 男性の育休取得期間が短いとはいえ「5日未満」は2018年度:36.3%、2021年度:25.0%、2023年度:15.7%――と顕著に減少しています。平日のスーパーをのぞいてみても、ここ数年で男性の買い物客は何倍にも増えた感があります。

 男性が家庭の役割をこなす比率が増えている一方、決して仕事は楽になっているわけではありません。夫からすると、目いっぱい働いているにもかかわらず、そこに家庭のことまで上乗せされて日々の生活に費やす工数が増えているということです。

●気付かれにくい「ステルス負担」

 夫だけではありません。妻の方はもっと前から工数が上乗せされてきていました。「2024年版 男女共同参画白書」によると、共働き世帯と専業主婦世帯の数は1990年ごろを境に逆転し、30年超の間に共働き世帯が専業主婦世帯のほぼ3倍に増えています。いまや大半の家庭で、家庭のことにプラスして、パートなどの仕事にかかる工数が妻に上乗せされているということです。

 以前書いた「『もっと働け』と強いる“女性活躍推進”のむなしさ 男女の格差なぜなくならない?」でも解説しましたが、共働き世帯の総工数は専業主婦世帯における家庭内の総工数と比較して、仕事工数が上乗せされた分多くなります。もちろん、家庭によって差はありますが、妻が家庭の仕事をワンオペで担当し、かつ共働きのモデルケースを数字で表すと、以下のように生活にかかる総工数は200から250へと増えます。

 妻がワンオペしている家庭では、パート勤務などと掛け持ちする形で増えた工数を妻がほとんど負ってきました。そんなワンオペ状態から脱却し、夫とシェアしようとしつつあるのが現在の流れです。ただ、そうすれば妻の工数は緩和されるものの、夫の工数が増えるので夫婦の総工数は250のまま変わらず、専業主婦世帯のころの200に戻るわけではありません。

 夫婦共働き化が進む中で上乗せされたはずの工数50の状態がいつの間にか当たり前となると、気付きにくい「ステルス負担」として定着していきます。

 一方で、物価は年々上昇しており、生活するためには収入を維持していかなければなりません。「2023年 国民生活基礎調査の概況」を確認すると、児童がいる世帯の年収は2013年から2022年の間に696万円から812万円へと116万円も増えています。

 切りよく800万円だとして、夫一人でこれだけの収入が得られれば、妻が家庭に専念して生活ができます。妻が働き、夫が専業主夫というケースもありますが、いずれにせよ専業主婦・主夫世帯であれば、生活にかかる工数は仕事専業100と家庭専業100を合わせて200に収まります。

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