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夫婦で家事分担、かえって忙しくなるナゾ 増え続ける「ステルス負担」の正体

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月7日 7時0分

 しかし、それが難しい場合は夫婦共働きで800万円の収入を得る必要が出てきます。扶養枠内で働く妻が夫の半分程度の工数、勤務時間に当てはめるなら1日4時間程度パート勤務して100万円の収入を得た場合、夫の収入が700万円なら合計800万円に到達します。

 とはいえ、この場合の総工数は妻側に仕事工数50が上乗せされるので250です。また、700万円の収入を得るのも簡単ではありません。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると2023年に700万円超の人は15.9%。平均給与は460万円です。

 仮に夫の収入が460万円であれば、妻が340万円の収入を得ないと800万円になりません。340万円の年収は、時給1500円で週5日8時間働いたとしても届かない数字です。

 それならば、夫婦が共に正社員として働いて400万円ずつ収入を得て、家のことも完全に半々にしたらどうでしょうか。すると、仕事工数が夫婦ともに100となるため、下図のように総工数が300に増えてしまいます。つまり、ステルス負担が50から100に膨れ上がるということです。

●育休取得率だけに目を奪われてはいけない

 女性活躍が推進され、仕事も家庭も夫婦が半々で担うケースは、今後の標準パターンの一つになりつつあります。しかし、夫婦が150ずつの工数を担って総工数300という生活は大変です。中にはそれが出来てしまうタフな夫婦もいるかもしれません。

 ただ、そんな特別な能力を持つ人が「私ができたのだから、あなたもできる」などと言い放っては、周囲の人を追い込むだけです。誰もが無理なく生活できる状態を実現するには、夫婦が担う工数が100ずつになるよう抑える必要があります。例えば以下のように、仕事工数70、家庭工数30に配分するという具合です。

 ただし、この場合はこれまで仕事にかけてきた7割の工数で400万円の収入を得る必要が出てきます。1日8時間勤務を100と見なすなら、5.6時間の勤務で400万円の収入を得る計算です。週5日働く場合、時給換算すると3000円弱になります。石破首相は2020年代のうちに最低賃金1500円を目指すと言っていますが、このモデルだとその倍近い生産性の実現が必要です。

 またこのモデルの場合、家庭にかける工数は夫婦合わせて60になります。40減らさなければなりません。そのためには「食事は、毎回一汁三菜」などとこだわらず、買ってきた総菜や冷凍食品で済ませる日があっても良しとしたり、2~3日に一度は行っていた部屋の掃除を週に一度に減らしたり、それを家族が受け入れるといったことも必要になります。家事代行を頼んだり、親世帯との同居などといった選択肢も入ってくるかもしれません。

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