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なぜ「ライス残し」で炎上したのか? 家系ラーメン店が抱える深いジレンマ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月23日 6時10分

 こういう「外食の食べ残し」が大量にあふれる現実の中で、なぜ「無料ライス」を残した人だけを問題視するのか。素直に不思議に思うことだろう。

 「家系ラーメン店が客の『ライス残し』に血眼で激怒する『切実な理由』…有料にしたくてもできない、という本音も」(現代ビジネス 2024年10月18日)によれば、この背景には「物価高騰」があるという。

●ライスを有料にできない事情

 チャーシュー、ホウレンソウ、のりに加えて、米も大幅に値上がりする中で、「無料ライス」の提供を続けることはかなり大変だ。そういう身を削る努力を必死にしている中で、ライスを残されてカチンときてしまったのではないかという。

 「いやいや、それならライスを有料にすればいいでしょ。食べたい人が注文するんだから、もったいないことをする客も少なくなるでしょ」

 そう思う人も多いだろう。確かに、家系ラーメンの総本山と呼ばれている「吉村屋」はライスが有料だ。公式Webサイトでは「130円」とある。そのように総本山に合わせる形にすれば、客側も金を払った分、「もったいない」という心理が働いて平らげる可能性も高いはずだ。

 ただ、前出の記事内に登場する家系ラーメンの店主によれば、それは難しいという。いわゆる家系の「直系店」と呼ばれる人気店ではない場合、「ライス無料」にしないと明らかに客足が落ちて、売り上げに響いてしまう。

 つまり、「ラーメンを食べてもらうためにタダでライスを提供し続けなくてはいけない」というラーメン職人としてのプライドを傷付けられるような「ジレンマ」があるというのだ。

 確かに、そんなストレスを抱えた店主ならば、客の「ライス残し」にあれほどまでキレてしまうのも無理はないかもしれない。

 ただ、神奈川県民として家系総本山の「吉村家」をはじめ、かれこれ30年近く家系を食べてきた客の立場で言わせていただくと、「無料ライス」に執着している家系ラーメンには、もう1つ別の理由があるのではいかと思っている。

●「無料ライス」に執着する理由

 それは客の「まくり」のためだ。

 ご存じの方も多いだろうが、ラーメン界ではスープを一滴残らず飲み干すことを「まくり」と言う。競馬の「まくり」(最後の直線で一気に順位を上げる脚質、戦法)という言葉からきているそうだが、諸説ある。

 そんな「まくり」をラーメン店側もかなり重要視している。それは自分が丹精込めてつくったスープを飲み干してほしいという「職人のプライド」もあるが、実は「コスト削減」の意味合いも強い。

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