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なぜ「ライス残し」で炎上したのか? 家系ラーメン店が抱える深いジレンマ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月23日 6時10分

 また同じく、全国で51店舗を運営している(公式Webサイトの店舗案内より)「横浜家系ラーメン 魂心家」も「ライス無料」を打ち出すとともに、「まくり証明書」というものを発行している。スープを飲みほした客に提供しているもので、22枚貯めた人にはTシャツやどんぶりなどオリジナルグッズをプレゼントしている。

●ライスは「一粒で二度おいしい施策」だった

 ここまで言えば、筆者が何を言わんとしているのか分かっていただけるのではないか。

 家系ラーメンの「ライス無料」は確かに客足を伸ばすための側面もあるが、「食べ残しスープ」をできるだけ減らして、処理費を削減する効果も期待できる「一粒で二度おいしい施策」だった。

 しかし、最近の物価高騰で米の価格が上がってしまう。しかも、中にはその米を残してしまう人もいる。これは筆者の想像だが、冒頭の家系ラーメンに訪れた女子2人組もライスを残すくらいなので、おそらく「まくり」もしていないのではないか。

 ラーメン店側からすると、これはたまらない。スープの処理コストはかかるわ、無料ライスは無駄になるわ、ダブルでイラついたことだろう。その怒りがあのような投稿につながったのではないか。

 さて、このような話を聞くと「最近は少食な人も多いんだから、ライスを付けてスープを飲ませようなんて逆効果だろ。それよりも、最後まで飲み干せるようなスープを開発したほうがいいんじゃないの?」と思う人も多いだろう。

 確かに理屈としてはそうなのだが、今の日本人に「まくり」をさせるのはかなり至難の技だ。実はこの20年、「ラーメンスープ離れ」がかなり進んでいるからだ。

 海外にも進出する人気ラーメンチェーン「博多一風堂」の創業者・河原成美氏が、九州在住のライターらが取材するローカルメディア『Qualities(クオリティーズ)』の記事で、一風堂ですら最後まで「まくり」をする客は約1割だと明かして、こんな興味深いことをおっしゃっている。

「1985年に一風堂を開いてしばらくはスープまで完食してくれる人は多かったけど、そうねぇ…2000年あたりから女性はあまり飲まなくなってきて、特にここ10年で男性も“スープだけは残す”のが大多数派になってきたかな。健康志向の波の中、ラーメンが表面だけで引き合いに出されることが多くなってきたことにも起因していると思う」(クオリティーズ 2023年8月3日)

●情報操作を受け続けている日本人

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