日本の「すしロボット」が、なぜ海外で売れる? 高級すし店の大将が「無限の可能性」を感じたワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月31日 11時45分
エスキューブは325(幅)×367(高さ)×352(奥行き)ミリ、ほぼキューブ状で、炊飯器のように手軽に扱えるすしロボットを目指した。デザイン面では、「プリンタのようだ」と言われることが多い。コンパクトなので使わない時は、棚などにしまっておける。重さは13.2キロと、女性でも持ち運べるほどだ。
ご飯は約1升が入り、約260貫のシャリ玉がつくれる。1時間に最大1200貫が製造できるが、これは通常の回転すしなどで導入されているマシンの4分の1の性能。しかし、実際にシャリ玉が出てくるスピードを見てみると、3秒に1貫なので、1~2人でサイドメニュー用に使うには十分な速さだ。シャリ玉を取らないと、そこで自動的にストップするから廃棄ロスも抑えられる。
鈴木社長は、「海外ではこれまでロールすしが主流だったが、和食やラーメンの店で、握りすしをメニューに加える店が増えている。すしはお客さまに喜ばれ、単価アップに貢献するが職人を雇うのも大変。そこで、値段を従来の半額ほどに抑えたコンパクトなシャリ玉ロボットをつくった」とのことだ。
エスキューブの価格は非公表だが、従来機の半額ほどでも、家庭で気軽に買えるような金額ではもちろんない。車1台を買うくらいの投資が必要。しかし、職人を雇うよりも、はるかに安い投資でレストランに導入できる。銀座の高級店が認めたクオリティーで、シャリ玉がつくれるのであれば、これから海外で爆発的にすしが普及するのではないだろうか。
●すしの大衆化を目指す
鈴茂器工は、1961年に現鈴木社長の父である鈴木喜作氏によって設立。当初は、お菓子の製造機器メーカーとして営業しており、もなかの自動あん充填(じゅうてん)機などを製造していた。
しかし、喜作氏は日本人の食生活が欧米化し、パンや麺のような小麦を使った製品に主食がシフトしていく状況に危機感を覚えた。1970年代から減反政策が推進される中、日本人の米離れに歯止めをかけ、米食の普及と拡大に貢献するべく、すしロボットの開発に乗り出した。
喜作氏自身もすしが好きで、それが開発の動機になった。
1981年に初号機の「江戸前寿司自動握り機」を開発。そして、すしロボットの普及とともに、日本全国に回転すしが広がっていくのだ。
「すしをいつでもどこでもおなか一杯」を実現するのが、鈴茂器工の使命。今の子どもは、すしは回っているものと思うようになっている。喜作氏の抱いた「すし大衆化」の夢は実現したといって良いだろう。
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