鉄道事業の分社化は小林一三イズムの終焉か 南海電鉄の新たな一手
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月9日 8時10分
南海電気鉄道(以下、南海電鉄)が鉄道事業の分社化を発表した。2024年10月30日に発表され、2025年の取締役会決議と株主総会の承認を経て、2026年4月に南海グループの鉄道事業会社が発足する。資本は親会社の100%出資となる。
これとよく似た事例が2019年の「東急電鉄」の鉄道事業分社化だ。このときは鉄道事業会社が「東急電鉄株式会社」の会社名を継承し、親会社は「東急株式会社」となった。この方式にならうと、新しい南海電鉄の親会社は「南海株式会社」になりそうだ。
余談だけれど東急電鉄の略称として「東急」が定着しており、「東急多摩川線」は路線名の正式名称になっている。だから親会社を示すときは「東急(株)」と呼んで区別するメディアもあるけれども、明確に使い分けられていないように思う。私が自動運転バスの記事を書いたときは「東急」とし、鉄道事業者は「東急電鉄」と書き分けている。
南海電鉄の場合は、鉄道事業会社が「南海電気鉄道株式会社」を名乗り、親会社が新たな会社名になるとみられる。南海電鉄の11月1日の報道発表で、国土交通省から泉北高速鉄道との合併が認可された。その報道発表で「2025年4月1日から泉北高速鉄道線は南海電鉄の泉北線として営業いたします」と宣言しているからだ。
おそらく南海電鉄の親会社も「南海株式会社」あるいは「株式会社南海」になるだろう。これがベンチャー企業なら「サウスオーシャン」とキラキラさせるかもしれないけれど、これでは何の会社か分からない。「東急」と同じように「南海」は強力なブランド名だ。分社化するけれどもブランド名は手放さない。グルーブの連携の糸をしっかり残すためだ。
●なぜ分社化するのか
鉄道会社が本業であるはずの鉄道事業を子会社化する。まるで本業を切り離すように見えてしまう。しかし、それは「鉄道」という誰もが利用する分かりやすい産業だから特別に見えるだけで、企業全体から見れば本業の分社化は珍しくない。
豊田自動織機は繊維工業として創業したけれども、主力となった自動車部門を分社化してトヨタ自動車を設立した。日立製作所は久原鉱業所の機械修理部門が独立したもので、のちに創業事業の産業機器部門を日立産機システムとして分社化した。NECは電話交換機や通信機で創業し、そこに使う半導体事業で発展したけれども、後に半導体事業は分社化。かつて日本でトップシェアだったPC事業も分社化した。
この記事に関連するニュース
-
関西私鉄、9月決算で全4社増収 事業の柱、非鉄道が目立つ
共同通信 / 2024年11月14日 17時52分
-
阪神・阪急・北急、関西最大級の鉄道系謎解きゲーム 「エンディング動画の歌に感動」続出
産経ニュース / 2024年11月10日 10時0分
-
メトロ上場で注目、鉄道「株主優待」おトクなのは? 乗車券や割引券、JR4社と大手私鉄15社を比較
東洋経済オンライン / 2024年11月7日 6時30分
-
なぜ関西大手私鉄の車両は全国の中小私鉄で活躍しないのか 線路幅の違い?交換サイクル?背景にある事情とは
まいどなニュース / 2024年11月6日 7時20分
-
クレジットカードのタッチ決済乗車が関西で一気に拡大 - インバウンドに便利、三井住友カード社長「地域の人にも」
マイナビニュース / 2024年10月29日 10時35分
ランキング
-
1相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
-
2ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時0分
-
3日本史の偉人「意外と二面性ある」驚きのトップ3 戦国時代や幕末の偉人も、どんな二面性?
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 9時20分
-
4クシュタールの会長「セブン&アイとの統合で小売業のチャンピオンに」…敵対的買収は「考えていない」
読売新聞 / 2024年11月22日 9時5分
-
5「ドラクエIII」最新リメイク、世代と国境の壁に挑む 「おじさんのRPG」を超えられるか
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 13時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください