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「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月26日 8時10分

 日本における米国産牛肉の輸入規制と、その後の規制緩和を経て、吉野家はBSE発生から約1年半後に牛丼を再開しました。しかし、営業利益率はBSE前の水準には遠く及ばず、吉野家単体で2005年度と2006年度は2~3%台に、吉野家HDとしても2%台という低水準となりました。

 一方、すき家と松屋は、BSEに対して迅速な対応を行っていました。すき家はすぐにオーストラリア産牛肉に切り替え味付けを変更し、松屋は豚丼などの代替品を提供し、その後オーストラリア産牛肉で対応するなどしていました。

 こうした柔軟な対応により、吉野家よりも牛丼を早く提供でき、それが功を奏したのか、松屋フーズHDは2005年度の営業利益率は6.5%。BSEより前の水準には戻ってはいないものの、吉野家よりも数字を戻すことに成功しています。

 ここでも頭一つ抜けていたのが、すき家のゼンショーHDでした。ゼンショーHDの営業利益率は、2005年度に7.3%にあがっています。BSE発生後、迅速にオーストラリア産牛肉への切り替えを行い、牛丼の販売を継続したこと。

 それにより、お客はすき家に流れ、売り上げを拡大できました。また、牛丼以外のメニューも充実させ、多様な顧客のニーズに応える姿勢をみせたことも功を奏したと考えられます。

●柔軟な対応を見せたゼンショーHD

 その後、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災により、多くの企業と同様、牛丼3社も大きな影響を受け、2009年~13年ごろまでは厳しい状況が続きました。

 牛丼価格の推移を見ると、価格へのテコ入れはリーマンショック以降に始まりました。このころ吉野家は380円と価格維持した一方で、すき家は2009年に330円、そして2010年に280円に下げ、シェアを取りに行くという戦略に打って出たのです。

 2006年、牛丼並盛の価格は、吉野家が380円、すき家と松屋が350円で、その差は30円でした。しかし、2010年には、吉野家が380円、松屋が320円、すき家が280円と、最大で100円の差が出ていました。

 この価格差から、すき家が積極的な戦略をとったことが分かります。松屋もすき家に追随して下げましたが、すき家ほどの価格にはしていませんでした。ここにも、各社の経営の意思がはっきりと出ており、興味深い事象だったと感じます。

 すき家は牛丼並盛の価格を据え置き、大盛やサイドメニューを調整することで、客単価を上げることに成功しました。また、メニューを豊富にしてファミリー層の獲得を目指したのも特徴的でした。商品の価格は、経営にとって非常に重要な要素ですが、値上げにおいても各社の違いが表れていました。

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