「安くて当然」を覆す! 「豆腐バー」「うにのようなとうふ」なぜヒット? “豆腐革命”の正体に迫る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月30日 6時37分
一般的な豆腐は価格競争に巻き込まれやすい(提供:ゲッティイメージズ)
豆腐は日本の伝統的な食品だ。大豆を原料としていて、タンパク質が豊富で栄養価が高い。コレステロールが含まれないのもポイントだ。
しかも、値段が安い。激安のスーパーやドラッグストアでは、1丁50円を切る価格で販売するケースもある。物価高の時世、豆腐の値段もじりじりと上がってはいるが、食用油や牛肉に比べれば、まだまだお財布にやさしい“物価の優等生”と言えるだろう。
一方で、輸入大豆の価格や石油製品である容器が値上がりしている。工場の機械を動かすエネルギーコストも上昇傾向にある。人件費や配送費も上がっている。コスト増に対して、消費者離れを気にして値上げができないと、利益を削って営業しなければならず、持続可能ではない。
実際、帝国データバンクの調べによれば、2024年1~7月に負債1000万円以上で倒産した豆腐メーカーは36件となり、過去最多のペースとなっている。
豆腐メーカーは、互いに似通った商品を売っているため、消耗戦を強いられてきた。製造設備の性能が高い大手がより安いコストで量産するため、中小は赤字覚悟でスーパーの棚を確保する交渉をせざるを得ない。
このような不毛な我慢比べを脱して、従来になかった異次元の付加価値を備えた商品を開発して、新しい市場を開拓するメーカーが出てきた。“豆腐革命”が進行している状況と言える。
豆腐を手軽なプロテイン食品に変身させた「豆腐バー」のアサヒコ(東京都新宿区)、豆腐の思いも寄らない可能性を知らしめた「ビヨンド豆腐」の相模屋食料(前橋市)、外食からの新提案でSDGsを実践する「豆富食堂」(東京都渋谷区)の事例を紹介する。
●ヒットメーカーが手掛けた「豆腐バー」
新発想、スティック状の豆腐である豆腐バーをヒットさせたのは、アサヒコという豆腐メーカーだ。
創業して間もない1972年、埼玉県行田市に業界初の「衛生的で均一な品質の豆腐」を量産する工場を新設しており、革新的な気風のある会社。2016年までの社名は朝日食品工業だった。
開発したのは、2023年5月より同社の代表取締役を務める池田未央氏。約20年間にわたり、菓子メーカーを3回転職してヒット商品を手掛け、あらゆる分野、チャネルの商品開発に携わってきた。正直、菓子はやり切った感があった。
新分野でのチャレンジとして、2018年にマーケティング本部長として同社に転職した池田氏は、米国に出張した時、非常に硬い豆腐が売られていて、肉や魚の代わりに食べられていることに気づいた。そこで、豆腐の定義を、植物性のタンパク源と変えることで、新しい発想の商品がつくれないかと、ひらめいた。
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