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「安くて当然」を覆す! 「豆腐バー」「うにのようなとうふ」なぜヒット? “豆腐革命”の正体に迫る

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月30日 6時37分

 大豆の値段が上がったといっても、肉や魚と比べればまだまだ価格競争力がある。単純に80円の豆腐を改良して100円で売るのでなく、競争のステージを転換した。

 「豆腐バーは、通常の豆腐に比べてグラム単価が約8倍以上に跳ね上がっている。豆腐という伝統ある食べ物の価値を、問い直す提案を行ったつもり」と、池田氏は豆腐バーにかける想いを語った。

 豆腐バーの発売は、2020年11月。東京五輪は残念ながらコロナ禍で1年延期されたが、当初はそれを目標に開発してきた。日本はビーガン食品が発達していないので、海外からの観光客の急増が見込まれる、五輪をチャンスと見たためだ。

 また、今はサラダチキンを買っているような、健康志向が強くタンパク質が効率的に取れる食品のユーザーに、豆腐は刺さると考えた。

 五輪は無観客となり、当初見込んだ外国人は来なかった。しかし、日本人がステイホームで運動不足になって、コロナ太りが増えてきた。なんとか痩せたいと思っていた人たちが、豆腐バーに注目。発売して1年で、約1000万本を販売する大ヒットとなった。

 技術的には木綿豆腐をつくるのとプロセスは同じだが、より多く水分を絞り出して硬くする。しかし、豆腐が固まってから水分を抜くのでは上手くつくれない。豆乳ににがりを加える段階で、水分が排出しやすいように、タンパク質の濃度やにがりの種類・量・加え方を工夫し、製法を確立した。

●「硬い豆腐が売れるとは思えない」を覆す

 最初にできたはんぺん状のプロトタイプを、セブン‐イレブン・ジャパンに持ち込んだところ、「面白いがこのままだと心許ない。もっとしっかりした硬さで、味もしっかりしていて、手を汚さずに食べられて、タンパク質が最低10グラムは入れてほしい」と、宿題を出された。

 それらの課題を解決して、発売に漕ぎつけた。

 セブン‐イレブンが売ってくれそうだとなると、社内の空気が変わった。それまでは、「硬い豆腐が売れるとは思えない」と白い目で見られてきたという。池田氏と1名の部下で、工場の片隅で試行錯誤を続けきた。ところが老舗豆腐メーカーの高度な知見が投入され、アサヒコならではの完成度の高い商品に仕上がった。

 最初に発売したのは、プレーンタイプの「旨み昆布」。1年間はアサヒコのナショナル・ブランド(NB)として販売。2022年1月からは、セブン&アイ・ホールディングスのプライベート・ブランド(PB)となった。同年秋からは、競合の「ファミリーマート」「ローソン」でもPBとして販売されている。

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