松井証券×JCBが挑むクレカ積立 赤字は避けられないのに、なぜ勝負するのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月2日 7時43分
一方、松井証券での資金流入ランキング1位となっている「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)」では、信託報酬1.727%のうち0.75%がポイント還元される。100万円の投資なら年間で7500円が還元されるわけだ。つまり、信託報酬は高めだが、その分還元額も大きい。結果として、信託報酬の高いアクティブファンドは松井証券で購入するのが得策という状況が生まれている。
投資信託の残高に応じたポイント還元は、2023年末から本格的に展開している。効果は着実に表れており、投資信託の残高は1年で1500億円から3000億円へと倍増した。売れ筋ファンドの顔ぶれも変化し、当初は低コストのインデックスファンドが上位を占めていたが、徐々にアライアンス・バーンスタインなど信託報酬が比較的高いアクティブ型投信の人気が高まってきた。
●インデックス全盛の逆を行く、富裕層開拓の勝算
投資信託市場では、低コストインデックスファンドの存在感が際立つ。三菱UFJアセットマネジメントの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は純資産総額が5兆7696億円に達し、16年ぶりに国内公募投信の最大規模を更新した。同社の「eMAXIS Slim 全世界株式」、いわゆる”オルカン”もNISA口座で最大の人気を誇る。
証券会社系列の運用会社も追随し、SBI証券の「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」、楽天証券の「楽天・全米株式インデックス・ファンド」など、信託報酬を極限まで抑えた商品が相次ぎ投入され、低コスト競争が激化している。
松井証券の戦略は、この業界の主流とは一線を画すものだ。「インデックス投資だけでは満足できないという投資家が多い」と増田氏は同社顧客層の特徴を説明する。
若い資産形成層は低コストインデックスを主に利用するのに対し、投資に慣れた熟練顧客はアクティブ投信を嗜好(しこう)する人も多い。実際、他社からの入庫(口座移管)は増加傾向にあり、「移管されてくる投資信託のほとんどがアクティブ型だ」(同)という。他社でクレカ積立を利用している投資家の中から、より還元率の高いサービスを求める層の取り込みを狙う。
JCBのプレミアム券種の主要顧客層とも、この戦略は相性が良い。月間5万円以上のショッピング利用で最大1.0%の還元率が適用されるプレミアム券種。「当社としてもプレミアムカードの会員獲得につながることを期待している」とJCBの山氏。カード会社側も、アクティブ投信を選好する富裕層との接点拡大に期待を寄せる。
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