なぜ日立はDXブランドの“老舗”になれたのか? Lumada担当者が真相を明かす
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 9時29分
●3万人の知見を集約化
――2016年当時の課題意識として、日立はどのようなことを抱いていたのでしょうか。
重田: それまでの当社の営業は、顧客が求めている希望に対し、製品をカタログで説明して「この性能で合いますか? 合いませんか?」というようなやり取りをして販売するスタイルを取っていました。営業スタイルは変わってきましたが、今でも顧客から「Lumadaという商材のカタログはないですか?」という問い合わせをいただくことがあります。
しかしLumadaは、このスタイルとは異なります。われわれは「NEXPERIENCE」(ネクスペリエンス)と呼んでいるのですが、顧客の課題を解きほぐして明らかにしていく一連の方法論を社内で整えています。
江口: ネクスペリエンスはいきなり生まれたものではなく、もともとは日立の中に「デザイン本部」があり、家電などのデザインを手掛けていた人たちが、顧客の課題起点でサービスデザインをするための方法論から始まっています。ですからLumada以前からカスタムメイド的な発想が、社内にはあったわけです。ネクスペリエンス自体は、Lumadaが始まる前年の2015年に始まっています。
実はLumada以前からこうしたケイパビリティは日立の各部署にあったものの、組織横断で横串を通せていなかったのです。小島社長は、Lumadaによってここをつなげました。
――Lumadaによって、日立の3万人近い社員のノウハウを集約化したわけですね。
江口: ネクスペリエンス以外でも、日立の各BU、当時はカンパニー制でしたけど、各カンパニーでは課題解決型の事例はあったものの、一元的にまとめられていませんでした。これを一元的にして「日立の中で見られるようにしよう」「それを誰がやったのかを分かるようにしよう」というのがLumadaの狙いだとも言えます。
●数値目標を明確化 組織改革で縦割りを解消
――Lumadaは、日立の組織改革まで入っている点が特徴でもありますね。
重田: 日立に限らず、日本の製造業ですと、それぞれの事業部やBUが、PL(損益計算書)を持っていると思います。縦割りの側面が強い中で、日立では社内でLumadaというものをしっかりと位置付けることで「みんながこういうものを目指してやるんだよね」という方針が分かるようになりました。
決算でも、Lumada事業と非Lumada事業を明確に分けていますし、IRでも対外的にLumada売り上げの目標値を掲げています。われわれとしても、Lumadaはデータやテクノロジーを使って顧客のビジネスをどう革新していくのか、どういう方向に舵を切っていくべきなのかを、トップが明確に打ち出しています。
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