なぜ富士通「Uvance」は生まれたのか サステナビリティに注力する強みに迫る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 9時34分
さらにAIによって、300種類のパーツの需要予測を2カ月かけて最適化し、全体として2桁億円のコスト削減を実現しています。このように業種や企業を超えたデータを短期間で、大きな事業改革ができるのがユーバンスの強みと言えます。サプライチェーンと表裏一体でCO2排出量をはじめとするESG課題も可視化されます。現在このソリューションをDynamic Supply Chainオファリングとして標準化し、100社以上に展開しています。
8月には米スタートアップのParadigm社と、ドラッグロスに向けた戦略的パートナーシップ締結を発表しました。ヘルスケア業界と製薬業界を超えた価値創造プラットフォーム構築の事例などがあります。
●国際ルールメーカーとしての強み
――サステナビリティに向けた異業種連携として、ユーバンスや富士通ではどんな取り組みをしているのでしょうか。
WBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)という、世界200社以上の経営者が集まり、新たなルールを策定する国際環境会議があるのですが、当社はその分科会でトランスポーテーション(交通)領域における脱炭素化の実証や、カーボンフットプリントを測る基準の策定や実証に、主導的に取り組んでいます。
国際的なルール作りとしては、他のことにも積極的に取り組んでいます。欧州起点で始まっているデータ流通の仕組みである「データスペース」の代表的な事例である、欧州自動車業界中心のCatena-X(カテナX)の枠組み検討にも日本企業として参画しています。
日本も同様の施策として、経済産業省が「ウラノス・エコシステム」(信頼性のある自由なデータ流通の実現に向け、複数のシステムを連携させ、企業・業界を横断したデータの利活用を促進することで、データ・システム・ビジネス連携を具体的に推進し、官民協調で企業・産業競争力強化を目指す)に取り組んでいます。当社はこのウラノスとカテナXをつなぐワーキンググループを主導しています。
ルールメイキングから事例を実際に作っていく部分にも、ユーバンスの事業部門が主体的に取り組んでいて、国際標準の面でも強みを強化しています。アジア地域では、こうした動きはまだまだこれからなので、今後の市場として期待しています。
――DXの定義も各社さまざまです。DXについて富士通ではどのように捉えているのでしょうか。
D(デジタル)とX(トランスフォーメーション)のどちらが大事かという話はよくあります。この2つを分けて考えると、デジタル化すること(D)ではなく、トランスフォーメーション、変革すること(X)がDXの本質だと捉えています。例えばデジタルツール導入によるモダナイゼーションだけでは、DXとしては不十分です。
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