プロレスのスーパースター中邑真輔に聞く 米WWEと日本の「ブランディング」の違い
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 10時16分
「例えば洋服でも、どの層をターゲットにするかによって売り方が違うのと一緒ですね。見せ方を変えている。WWEという商品をパッケージ化して捉えているのだと思います」
子どもが見に行きたいから、両親や祖父母が一緒に会場に足を運ぶ。WWEが米国以外で興業する際にも「普段は放映でしか見られないから、貴重な機会として見に行きたい」と思ってもらえるのだ。
中邑選手は「なんで(日本のプロレスは)子どもたちが来ないかといったら、まだまだ目に触れる機会が少ないからかもしれません」と話す。どんなエンタメであっても、コアなファンに加えて、いかにしてライトなファンを獲得し、リテンション(顧客維持)できるかがカギとなる。その意味で、小中学生の入場料無料キャンペーンによって、子どもや家族連れへの門戸を開くプロレスリング・ノアの戦略は理に適っているだろう。
そしてABEMAやプロレスリング・ノアを有するCyberFightなどのサイバーエージェントグループの強みは、プロレスという自社コンテンツと、日本でも有数の配信メディアを同時に有していることだ。それこそが、中邑選手が「ポテンシャルを感じる」と話す要因なのだろう。
●「プロレスは海外挑戦しやすいジャンル」
中邑選手は「プロレスは他の競技、ジャンルに比べて、海外挑戦しやすいジャンルだと思う」と話す。
「オリンピック競技でも海外に行かないと大会があまりないような競技もある中、プロレスは国内で実力を証明したり人気を博したりすれば、今はネットによって活躍を見つけられて、海外からオファーが来たりすることもある。以前とは違ってソーシャルメディアもありますから」
中邑選手によれば「僕が若手の頃はそうはいかなかった」という。
「そういう意味では、僕(が海外に挑戦した年齢)よりも、もっと早い段階でチャンスが来るはずだと思います。日本のプロレスのレベルは世界的にも高いと言われています。基礎をしっかり学んで、高度な技術争いの中で揉まれるわけですから。あとは本人が海外に出たいと思うかどうかだけの話だと思う。チャンスはいくらでも転がっているんです」
日本武道館大会への中邑選手の参戦も、さまざまな状況の変化があってこそ実現したものだ。ABEMAやプロレスリング・ノアが、WWEと地道に関係を構築してきた努力のもとに成立している。中邑選手も「時代の変化の当事者として、僕自身も楽しんでいます」と意気込む。
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