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なぜフジテレビは失敗し、アイリスオーヤマは成功したのか 危機対応で見えた「会社の本性」

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月22日 6時10分

 SNSではこのメッセージを絶賛する人が多く、中には「家電を全てアイリスオーヤマにします!」なんて感激しているファンまでいるという。

 さて、そんなアイリスオーヤマの“神対応”を聞くと、企業で危機管理を担当している人などは頭がこんがらがってしまったことだろう。

 一般的に、企業が広告に起用しているタレントが警察沙汰になるような不祥事を起こした場合、その広告を迅速に停止・差し替えなど行い、タレントとも契約解除をするのが危機管理のセオリーとされる。専門家が記載している「マニュアル本」にもそのような対応が推奨されているので、お読みになったことがある方もいらっしゃるだろう。

 実際、吉沢さんに対してもそのような厳しい考えに基づく対応が多い。

 「アサヒスーパードライ ドライクリスタル」の広告に吉沢さんを起用していたアサヒビールは発覚当日にCMを停止、翌日には契約解除という厳しい対応をした。「まあそれはアルコール飲料会社だからね」という人もいるが、そうではない企業も同様だ。洗口液「ピュオーラ」のCMに起用していた花王も不祥事報道を受けて、公式Webサイトから吉沢さんの動画を削除した。CMではないが、2月14日に公開されるはずだった主演映画も公開延期されている。

●なぜアイリスオーヤマは「神対応」ができたのか

 多くの企業が吉沢さんに対してセオリー通りの企業危機管理対応をしている中で、なぜアイリスオーヤマはこのような「神対応」ができたのか。

 まず、大前提としてミもフタもないことを言ってしまうと、「非上場」ということが大きい。今回、中居さんの件でフジテレビが記者会見に応じた背景には、大株主である米投資ファンドのダルトン・インベストメンツが信頼回復に努めるよう強く要請したとされているように、上場企業は株主からのプレッシャーに弱い。

 裏を返せば、広告やCMに起用しているタレントが不祥事を起こした際、トカゲの尻尾切りのような対応をする企業が多いのは、社長など経営幹部が、株主から「法令順守の意識が低い」「イメージを毀損(きそん)して損害を出した」などと突き上げられる事態を回避している側面もあるのだ。

 この点、株式非公開の同族企業であるアイリスオーヤマはまったく気にしなくていい。それが今回のような対応を可能とした理由の1つだ。

 ただ、ここが大事なポイントだが「株式非公開の同族企業」だからといって「神対応」がしやすいわけではない。むしろ、こういうタイプの企業の中には、あまりに自由奔放すぎて、火に油を注ぐような「炎上対応・炎上会見」となるところが多い。

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