なぜフジテレビは失敗し、アイリスオーヤマは成功したのか 危機対応で見えた「会社の本性」
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月22日 6時10分
分かりやすい例として、ビッグモーターが挙げられる。保険金不正請求や勝手に街路樹をひっこ抜いていたことなどの不正が次々と発覚した同社が、ダメ押しのように大炎上をしたのは記者会見が原因だ。経営者が現場に責任を押しつけるなど暴言・迷言のオンパレードで「ここまでひどい会見は初めて」と批判が殺到したのである。
株主という外部のチェックが働かず、カリスマ創業者と息子がやりたい放題で組織ガバナンスがボロボロになり、危機管理どころではなかったことは記憶に新しいだろう。
●神対応に導いたアイリスオーヤマの「思考法」
では、「株式非公開の同族企業」だからというわけではないのならば、実際のところ何が今回のような「神対応」につながったのか。
「そりゃやっぱり吉沢さんに対して厳しすぎるという少数派の意見にも耳を傾けたってことじゃない?」「いや、なにかSNSやネットの声をしっかりと拾い上げる仕組みがあったじゃない?」など、さまざまな意見があるだろう。評論家の皆さんもそのような記事をよく書いている。
しかし、実際に企業危機管理に長く関わってきた立場から言わせていただくと、そういう小手先のテクニック的なことより、もっと根っこの部分というか、アイリスオーヤマならではの「思考法」が影響を及ぼしたと考えている。
それは「ユーザーイン発想」である。
これはアイリスオーヤマの根幹に基づく考え方だ。2024年のアイリスグループ会社案内にも、「全てのソリューションはユーザーイン発想から」と大きく掲げられ、こんな説明がなされている。
「私たちは、モノづくりは目的ではなく、不満を解決する手段だと考えています。プロダクトアウトでもなく、マーケットインでもない。常に生活者目線で物事をとらえ、不満や不便を解決するモノづくりを行っています」(2024年のアイリスグループ会社案内)
「お客さま目線ってことね」と思うかもしれないが、実はちょっと違う。ユーザーイン発想は「完全に生活者になりきる」ことによって、生活者自身も気付いていないニーズを探し当てて、新たな需要を創造をしていくことなのだ。
同社のコーポレートメッセージ「アイラブアイデア」が示すように、アイリスオーヤマをここまで成長させたのは、商品に独創的なアイデアがあるからだ。それはこの「生活者になりきる」ことを徹底しているからといえる。
●吉沢さんのケースを生活者になりきって考えると……
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