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突然、普通の街が観光地に! インバウンドが押し寄せる「ニッチ観光地」から考える日本観光のあり方

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月24日 8時0分

 観光産業のニュースメディア「トラベルボイス」によると、インバウンド観光客のリピーター割合は、全体数の増加に伴って増えている。定番の観光地に飽きた人たちが、より「生の日本の日常」を見られる場所や体験を求めるようになるのは自然な流れだ。現に、農家に泊まる「農泊」などのインバウンド観光客向け体験型ツーリズムは、日本各地で増えている。「たくさんの人がメジャー観光地に行く」モデルに加え、「少数のリピーターがニッチ観光地を訪問したり、ニッチな観光体験をしたりする」モデルも増えてきているわけだ。

 こうした観光の「質」重視の傾向は、日本政府による「観光立国推進基本計画(2023~2025年度)」でも明示されている。この計画では、「観光客一人当たりの消費額」についての事項が明記され、たくさんの人に来てもらうことに加え、よりニッチな観光を楽しんでもらう必要性も示されている。

 こうした背景もあり、これまでのメジャーな観光地に加えて、日本人でさえ知らないような、あるいは体験したことのないようなニッチ観光が広がることが予想される。

●ニッチ観光地が生み出す「観光公害」

 こうした流れはもちろん喜ばしいことではあるが、当然ながら問題もある。昨今話題になっている「観光公害」が最たる例だ。ニッチ観光地が増えるほど、観光公害も増加する。もともと観光地として作られていないため、街側と観光客側の軋轢は強くなりがちだ。

 代表的なのが、昨年大きな話題になった「富士山ローソン」だ。これは山梨県富士河口湖町にある「ローソン富士河口湖駅前店」の前に、突然多くのインバウンド観光客が集まるようになったというもの。突然そこがニッチ観光地となった理由は、雄大な富士山がローソンの屋根に乗っているように見える様子が、SNSなどで話題になったからだった。ローソンと富士山という意外な組み合わせに、面白さを感じる外国人が大勢いたというわけだ。多くの商品が整然と並ぶ日本のコンビニは外国人の間でも人気で、ある種の「日本のカルチャー」を代表するものともなっている。それと富士山の組み合わせに「日本らしさ」を感じるインバウンド観光客が集まったのだ。

 それで終われば良かったのだが、問題はそこを訪れる人のマナーだった。私有地への立ち入りや無理な道路の横断などが絶えず、一時はコンビニ前の歩道に防御壁が置かれるまでになってしまった。いくら富士山が見えるとはいえ、地元の人にとっては普段使いのコンビニ。観光と生活という全く異なる行動が交差したために起こった問題だった。

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