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米国務省やマスク氏も採用 AIで「偽情報対策を革新」したイスラエル企業

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月26日 13時43分

 さらにそのアカウントは2分おきに30種類の言語によって投稿をしていたという。すなわち、眠ることなくトイレにも行かず、多言語で発信していたのだ。それは、人間が発信したものではないと判断できた。1日でFacebookに100万人の新しい友達ができた場合、常識的に考えてそのアカウントは疑わしいといえる。このように500以上の異なる行動パターンを持ち、同時にAIによってアカウントの行動を監視している。本物のアカウントかどうかなどアカウントの真正性を評価し、偽アカウントかどうかも見抜くのだ。

 政府機関はサイアブラのツールを以下4つの用途で使用している。

 (1)米国選挙で利用されたように、人々の動向に大きな影響を与えるために作られた偽アカウントでの選挙妨害対策、(2)政府反対デモなどの治安維持対策、(3)生活費が高すぎるといった政府への不満・批判の悪評対策、(4)詐欺・テロなど犯罪対策だ。

 2023年5月に米国防総省(ペンタゴン)が爆発した写真がX(旧Twitter)で急速に拡散した。S&P500の株価指数は30ポイント下落。時価総額も5000億ドル以上、変動した。その後、ブルームバーグ研究所になりすました偽アカウントにより、AIで生成され拡散されたものだったことが判明。偽のプロファイルが削除された時には既に、株価が暴落していた。最終的に、どこかの国が攻撃したのではなく、個人が行ったものと特定されたという。

 その影響は大きかった。もしも個人ではなく、集団でこのような暴挙を実行したら……。それを考えると、対策の必要性が浮き彫りになった出来事だった。

 ZARA、スターバックス、マクドナルド、コカ・コーラ、ネスレ、ディズニーなどでは、さまざまな理由でボイコットや非売運動が知らないうちにネット上で展開されている。

 ボイコットを呼びかける人々を分析するために、その言説の真偽や、誰がそのシナリオを推進しているのかなどを調べるという。ほかにも、ブランド維持や企業の危機管理対策としても利用されている。企業のブランディングは長い年月をかけて作り上げられるものだ。しかし、落ちるときには簡単に落とされてしまう現実がある。

 これからは企業が、自社のブランド、商品、サービスが消費者にどう思われ、SNS上で何を言われているのかを知ることが重要だ。この危機管理思考は、経営層が意識し対策すべきことである。

 米JPモルガン・チェースは、性的虐待などの罪で起訴された富豪のジェフリー・エプスタイン氏(2019年死亡)のスキャンダルを拡散され、ブランディングを含め、大きな損害を被った。これは、CNBCの記事を個別に共有する63のボットによりキャンペーンされていたことで発見した。どんな企業でもこのような事態は起こりうるのだ。

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