窮地の日産、ホンダとの協議開始は「最後の審判」か 統合に至るまでに乗り越えるべき課題
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月28日 5時55分
今回の統合計画が進展した先には、ホンダと日産、さらには日産傘下の三菱自動車(1月末までに、統合協議に参画するか否かを正式表明)も加えた3社の車載ソフトを統一することで、先手必勝であるソフトの世界で主導権を握ろうという未来図が透けて見えてきます。ホンダが、窮地にある日産とあえて経営統合を検討するのは、コストや開発費の削減以上にこうした大局的な観点が大きいと見ています。
●「水と油」の組織文化を、どう乗り越えるか
仮に両社が経営統合に合意した場合、その先で最も気になるのは、ホンダと日産の企業文化の違いです。ホンダは創業者である本田宗一郎氏由来の自社技術開発にこだわった、独立志向で、チャレンジングな一匹狼的組織文化が有名です。
一方の日産は、古くからどちらかといえばお役所的な官僚組織であるといわれてきました。長期にわたったワンマントップのゴーン政権以降で拍車がかかり、組織内では「指示待ち」「ことなかれ」的な文化がまん延し、現状の業績低迷につながったのだという定評がもっぱらなのです。
この「水と油」にも近い組織文化の違いを克服するためには、主導権を握るホンダが遠慮することなく強いリーダーシップを発揮し、実質的に日産を傘下に収めるぐらいの気概で統合を進められるかがカギであると思われます。100年に一度と言われる大変革期にある自動車業界ですが、過去に同じような大変革期を迎えた2000年前後の大手銀行で相次いだ経営統合劇が、リーダーシップの重要性を教えてくれています。
●「銀行再編」もリーダーシップで成否が分かれた
例えば、三菱UFJ銀行であれば三菱が、三井住友であれば住友が、圧倒的なリーダーシップを発揮して新組織を自社の文化で染め抜いたことが、その後の発展につながったといえます。対して、第一勧業・富士・日本興業の3行合併でスタートしたみずほは、確固たるリーダー不在のまま旧3行間での遠慮や忖度(そんたく)が過ぎたことで、システム統合の大失態をはじめ、先の2行に水を空けられて「万年3位」が定位置となってしまったのです。ホンダ・日産に加え、三菱自動車が今回の経営統合に加わった場合(同社の参画方式については現時点で流動的との報道あり)、みずほと同じ轍を踏むことがないよう、ホンダの強いリーダーシップ発揮が求められるところです。
会見でホンダと日産は、6月末までに最終合意を得たいとしました。当面の注目点は、それまでに日産が「大リストラ」および、内田誠社長が「ターンアラウンド」と表する事業再構築に向けた具体的な絵が描けるか否か、そこに尽きるでしょう。
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