窮地の日産、ホンダとの協議開始は「最後の審判」か 統合に至るまでに乗り越えるべき課題
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月28日 5時55分
リストラに関して、内田社長は「年間350万台レベルでしっかり利益が出る会社に再生する」としているものの、年間生産能力が500万台で稼働率の悪い生産拠点のうち、どこを閉鎖して人員削減策を進めるかの具体策は全く見えていません。
常務以上の執行役員だけで40人もいる管理体制も、大きな問題です。11月のリストラ宣言が出された後の役員人事が、大方の予想を裏切って小幅な異動にとどまったことには、経営陣の危機感の薄さがにじみ出ています。構造改革を含み、経営再建を確実に実行できる少数精鋭の役員体制の構築が、最低限求められるところです。これらを速やかに実行した上で、業績の安定化を担保する事業再構築を軌道に乗せることが求められているわけで、統合合意に向けたハードルは決して低くないのです。
リストラと事業再構築が、もしホンダの納得するレベルに達しないならば、統合は白紙撤回され、日産はいよいよ窮地に追い込まれます。そうなれば大株主のルノーからも見放される恐れがあり、虎視眈々と待ち受ける鴻海をはじめとした外資の手に落ち、解体・消滅さえも現実味を帯びてくるかもしれません。ホンダと日産による経営統合協議開始のニュースは、産業界屈指の大ニュースであると同時に、日産にとっては企業存続をかけた正念場の火ぶたが切られたという重大ニュースでもあるのです。
(大関暁夫)
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