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フジ新社長はアニメ畑出身 「異色だが期待大」な、決定的な理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月1日 18時51分

 今ではコスト削減意識の高まりから、バラエティーやドラマの制作を外部に委託する形も珍しくなくなっている。だが港前社長が現場で活躍した1980年代から1990年代のテレビ黄金期は、今よりも自社制作の番組が多かった。

 バラエティーの収録では、放送作家を中心に番組の構成を立てるものの、あくまでそれはたたき台であることが多く、芸人のアドリブや、収録に立ち会うディレクターやプロデューサーなどのアイデアなどによって最終的な演出は変わってくる。港前社長は第二制作部部長やバラエティ制作センター室長、バラエティ制作センター担当局長などを歴任しており、まさに番組作りたたき上げの「職人」といえるキャリアだ。

 一流の職人が「大企業の社長」として適格だったかどうかには、議論の余地が大いにあるだろう。だが、あらためて港前社長のキャリアを考慮すると「本当に経営層のビジネスパーソンだったのか」と問われてしまうような言葉遣いが目立ったのも、ある程度は仕方がない面もあると考えられる。

●テレビ局が「手を出せない」アニメ制作

 一方で後任の清水新社長が主に歩んできたアニメの場合、バラエティーとは決定的な違いがある。アニメはテレビ局が制作できない点だ。

 テレビ局の子会社となっているアニメ制作会社自体は、例えば日本テレビ子会社のスタジオジブリやタツノコプロなどが著名だ。フジテレビも、デイヴィッドプロダクションというアニメ制作会社を子会社にしている。

 だが、アニメ制作会社がテレビ局と資本関係にあったとしても、アニメプロデューサーは番組作りに対して、バラエティーのようには大きく口を出すことができない。アニメプロデューサーはテレビ局の一人だけでなく、アニメ制作会社にもいて、著名な例でいうと、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが当てはまるだろう。

 アニメ作りにおいては、テレビ局などの「製作」プロデューサーと、制作会社の「制作」プロデューサーは、明確に区別されている。口頭で伝える際にも「衣」付きなどと表現されるほどだ。

 実際のアニメ作りの現場は、この制作会社の制作プロデューサーが取り仕切る。アニメ作りにおいては、テレビ局は基本的にアイデアとお金を出すことが主で、バラエティーなどのように、番組作りに直接「手」を出すことはできない。

 「口」は出せるものの、出せるのは基本的に「プリプロダクション」と呼ばれる、企画立案からシリーズ構成、脚本、設定・デザイン、絵コンテまでの段階でだ。絵コンテが完成し、それを元に制作会社が中心となって原画やアニメーターなどが動き出す段階になってしまうと、現場の陣頭指揮は制作プロデューサーが担い、製作プロデューサーは基本的に進捗確認や品質管理などにしか携われない。

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