「IT多重下請け」の構造と解決策 やりがい搾取と「報酬中抜き」はなくなるか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月8日 18時42分
●「SIerに外注したほうが楽」という現状
以前、PE-BANK社長をインタビューした記事でも紹介した通り、フリーランスのITエンジニアは増えてきている。片岡代表は「全体としては依然として『企業対企業』という構図が多い印象です。企業で働くという安心感や終身雇用の影響が、まだ残っている面があるからです」と実態を話す。
多重下請け構造を理解するには、歴史や背景を知る必要がある。日本人は「手作り/クラフトマンシップ」「ひと手間」など、人間が魂を込めてモノを作り出すことに価値を置いてきた。「日本は1980~1990年ぐらいのタイミングで、クラフトマンシップのような文化の中で(いろいろな商品の)内製化をさらに進めようとしてきました」
その後、想定とは違う方向にそれていく。例えば、新入社員にプログラミング言語の「C#」を学ばせた。年月が過ぎ、新たに開発する新商品には「Java」が必要となった。あらためて別なプログラミング言語のリスキリングをさせるのは(時間やコストの面などから)面倒ということで、会社はシステムインテグレーター(SIer)に外注する流れが生まれたのだ。
「効率化の話なのでいい面はあるのですが、面倒という理由だけでアウトソースすることが果たして正しい判断なのか……。企業としてのデジタルリテラシーの問題ですが、今は、それすらもなくなってしまった印象です」
つまりSIerを使って効率ばかりを追い求めた結果、多重下請け構造が生まれる土壌ができあがったのだ。「開発したい商品に応じて外部に発注する時点で、一次請けが生まれます。一次請け企業であるSIerはプロデューサー的な役割です。では、実際に誰がシステムを作るのかといえば二次請けの会社です。二次請けで人が足りなければ、三次請けが生まれるという状況になるのです」
片岡代表によると、プロジェクトにもよるものの大規模なプロジェクトだと、一次・二次までではなく、三次・四次まであるケースもあるそうだ。
コロナ以後、働き方も変化した。多重下請け構造も変わっていかないのだろうか。
「日本はピラミッド構造なので、上が変わらないと下は変わらないと思います。一次請けの会社から二次請け、三次請けに継続的に発注が来るのであれば、下請け企業が変わる理由はあまりないからです」
やりがい搾取に代表される金銭面については、下層になればなるほどブラックボックス化して、いくら中抜きされているのか分からないのが実情だ。
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