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「IT多重下請け」の構造と解決策 やりがい搾取と「報酬中抜き」はなくなるか?

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月8日 18時42分

 「もし私が発注元ならば、二次請け以下については、いくらマージンを払っているのかは分かりません。正直なところ、ガバナンスは効かないと思っています。原理原則として、誰がどの工程を作業し、何を作ったのかを正確に記録するような、ガバナンスとマネジメントが効く仕組みを作る必要があります」

 日本では、発注元が上の立場を利用して、コスト削減や、現場に口を出し「あれもやってくれ、これもやってくれ」とリクエストする企業が少なくないという。ちなみに海外には、あまり多重下請けの例はないそうだ。

 片岡代表は目的・目標を明確にする解決方法として「OKR」(目標と主要な結果。Objectives and Key Results)というマネジメントの推進を推奨する。

 「『私たちは何を作るのか?』に重きを置いたマネジメントを、委託先と一緒にできるようになればいいと考えます。それには、発注側の意識改善が必要になります」

 発注元が「下請けと一緒にいいモノを作っていくんだ」という意識を持つことと、立場が上という意識を変えることが重要だと強調した。

●内製化できる企業が増えれば「多重下請け構造」も減る

 TECH PLAYの顧客は、メガベンチャー、Web企業、SIerなどが中心だった。しかしDXが叫ばれるようになり、これら以外の業界に属する企業でも「ITエンジニアを採用したい」という流れも生まれてきたという。

 例えば、イオンやヤマト運輸らが新しいクライアントとして加わった。「社内に優秀なエンジニアを抱え『自分たちでプロダクトを作れる会社にしていこう』ということです。今ではプロダクトを内製化できるまでになっています」

 その後、これまでの採用に加え、人材育成の需要も高まってきた。例えば大手通信業のサポートもしているという。「総合職社員は、社内のローテーションも多く、店長の次の配属先が、商品開発担当ということもあります。ITについて理解が深まるようお手伝いをしました」

 イオンは、IT関係のシステムを内製化できる組織を作り上げた。こういう流れはこれからも増えそうかと聞くと「増えるでしょう」と話す。

 「事実、相談件数が増加しています。ただ、誰が作っても変わらないものだったら外注してもいいですし、変わるものだったら内製化した方がいい。つまり、経営者が経営判断において適切に使い分けができるようになれるかが重要なのです」

 もし内製化が進めば、他社に依存する必要がなくなる。すると多重下請け構造も減るように見える。片岡代表も、多重下請けが減る可能性を示唆した。

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