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クルマの「音」は演出できる? EV時代に“サウンドビジネス”が広がってきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月7日 6時30分

クルマの「音」は演出できる? EV時代に“サウンドビジネス”が広がってきた

運転の気分を盛り上げる、クルマの「音」

 ドライバーは運転する際に、情報の9割は視覚によって得ているといわれている。しかし、実際には緊急自動車の接近や自車からの異音などに気付くために聴覚も利用しているし、加速や減速時には体でGを感じている。ステアリングやペダルに伝わってくる振動を手足で感じ取ってもいる。さらにいえば、走行中の振動やカーブを曲がるときなど、腰や背中、三半規管でも旋回モーメントを感じ取る。

 そんな風にドライバーや乗員は、走行中にさまざまな刺激をクルマから受けているが、その中でも特に刺激的なのは、エンジンが発する振動や音ではないだろうか。サーキットや高速道路であれば加減速も刺激的だが、その加速時のエンジン音や排気音はドライバーを高揚させるのに十分な刺激だ。

 EVの静かさ、滑らかな走りは、スマートでドライバーにストレスを感じさせない要素だが、エンジンの息吹や排気音はドライバーを高ぶらせる要素の一つだろう。

 昔はマフラーを交換して排気音を楽しむのは、クルマ好きの中でもかなりマニアックな行為であった。特に英国車など輸入車を乗り回して楽しむオーナーは、英国製やイタリア製のマフラーの中から、自分好みのサウンドを奏でるブランドを選び、愛車に装着していたものだ。

 1970年代から80年代にかけては、日本のマフラーメーカーは少なく、車検制度も厳しかったこともあって、こうしたモディファイ(改造)は一部のマニアだけが楽しむものだった。

 しかし1989年、当時の騒音規制をクリアした合法的なマフラーを製造するメーカーが集まってJASMA(日本自動車スポーツマフラー協会)という団体を作り、車検に通る合法的なマフラーがアフターパーツ市場に出そろうようになった。これによりエアロパーツやアルミホイールと組み合わせてスポーツマフラーを装着して、マフラーサウンドやテールエンドデザインを安心して楽しむ文化が醸成されていくのだ。

●運転の気分を盛り上げる、クルマのサウンド技術

 だが、騒音規制は厳しくなっていく一方で、欧州では純正マフラーと同じ音量しか認められないようになると、ドイツのチューニングメーカーやマフラーメーカーはその対応策を考え出すようになる。

 音量は抑えつつ、純正マフラーよりも力強い低音を強調するなど、排気音の質にこだわるようになり、排気抵抗を抑えることでエンジンの能力をより引き出すだけでなく、マフラーの仕様にもさまざまな工夫、努力が注がれていくことになる。

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