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クルマの「音」は演出できる? EV時代に“サウンドビジネス”が広がってきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月7日 6時30分

 このころからクルマのサウンドビジネスが広がり始める。クルマのチューニング文化が根付いていたドイツでは、マフラーサウンドを楽しめなくなると、その代替手段としてマフラー出口付近にスピーカーを装着し、加速時には排気音を増幅する仕組みを作り上げた。

 それくらい当時はマフラーから放たれるサウンドが、ドライビングの気分を高めるスパイスとして重要視されていたのだ。

 また音響機器メーカーのBOSEは、カーオーディオシステムとしての音響システムとは別に、車内の走行音の演出にも開発分野を広げていく。車内の騒音に対して逆位相(2つの振動、または波動の位相が反対であること)の音を作り出して打ち消すノイズキャンセリング技術で静粛性を高めたり、それを応用してエンジン音や排気音をスピーカーから放つ音で補完したりしている。

 マツダは、MAZDA3の先代モデルであるアクセラからディーゼルエンジンにBOSEのサウンドチューニングを導入していた。現行のMAZDA3ではピストンピン内部にディーゼルエンジンのノイズを低減させるナチュラルサウンドスムーサーという部品を追加するなど、ディーゼル車であっても気持ちのいい加速感を演出する音作りに余念がない。

●「車内が静かなほど良い」とは限らない?

 一方、EVが徐々に乗用車市場に現れ始めると、その走行音の静かさによって、歩行者に自車の存在を気付かせにくいとして問題視されるようになった。走行時に周囲に存在を示すように音を放つシステムも開発されるようになる。

 そしてエンジン車の方も、静粛性と従来のクルマの楽しみの両立が図られるようになっていく。

 エンジン車でも排気音でドライバーを楽しませることが難しくなると、意図的に吸気音を車内に響かせることで加速感を楽しめるようにしたスポーツカーも増えていった。近年では、これすらも電子化、すなわち前述のオーディオによるサウンドチューニングが普及しており、それを利用するケースが珍しくないのだ。

 エンジン車ではマフラーを交換せず、マフラーカッターと呼ばれるテールパイプだけを装着して、リアビューの個性化を図ることを目的としたカスタムも支持されるようになってきた。

 一方で、排気音が与える特別感もまた、クルマを個性化して楽しむフリークには必須のアイテムとして、自動車業界に認知され続けている。

 高性能な高級車は、騒音規制の対象となるエンジン回転数までは音量を抑えるようにサイレンサーを通し、それ以上の回転数ではバイパスを通すことで、高出力とスポーティーな排気音を両立させる技術を開発した。

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