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AWSが打ち出す“日本独自の施策”の狙いは? 「デジタル化するユーザー企業」の針路を考察

ITmedia エンタープライズ / 2024年11月19日 7時5分

 もう一つは、「AWS Global Passport」だ(図6)。

 「AWS Global Passportによって、ソフトウェア企業の海外進出を支援していく。具体的には、このプログラムを通して海外進出支援の専門コンサルティング企業と連携して戦略立案と実行を支援する。さらに、初めて利用するAWSの海外リージョン利用料に対してクレジットを提供する。グローバルに販路を持つAWSが世界で推進しているプロジェクトによって、日本から世界への販売を支援したい」(佐藤氏)

 なお、AWS SaaS 支援プログラムは、AWSジャパンによる日本独自の施策だ。会見の質疑応答で「なぜ、日本でこういう施策が必要だと考えたのか」と聞いたところ、佐藤氏は「日本ではSaaS事業の拡大とともに、これからSaaS化を進めたいというソフトウェア企業のニーズも強く感じたので、SaaSジャーニーを一気通貫で支援する施策を提供することにした」と答えた。この背景には、日本のソフトウェア企業におけるSaaS化への対応の遅れがあるようだ。

 最後に、今回のAWSジャパンの新たな施策から、筆者が注目した点を3つ挙げて考察したい。

1、ソフトウェア企業だけでなく、エンタープライズ企業や地方企業がDXによって自ら手掛けるSaaS事業も支援の対象としている点

 これから多くの企業がデジタル化する中で、社内でのノウハウの蓄積を基に自らSaaS事業を手掛けるケースが増えると見られている。AWSにとっては既存のソフトウェア企業よりもむしろ、そちらのニーズのほうがポテンシャルは大きいのではないかというのが筆者の見立てだ。

2、日本企業のSaaS事業の海外展開を積極的に支援している点

 デジタルサービスにおける貿易収支の赤字を指す「デジタル赤字」の拡大が今、注目を集めている。その中で、今回の施策を国内だけで見れば赤字が膨らむ形になるが、AWSのプラットフォームを使って日本企業が海外でデジタルサービスを広げられれば、赤字を減らせる可能性がある。ただ、筆者はデジタル赤字がどうなるかというよりも、日本のソフトウェア企業が海外でデジタルサービスを成功させるには、AWSをはじめとするハイパースケーラーのプラットフォームを利用するしかないと考えている。その意味でも今回の新施策は興味深い。

3、今回の新施策がAWSジャパンにとって何を意味するのか

 直接的には、日本のソフトウェア企業のSaaS化支援による自社の事業拡大だが、同社の最大の狙いはそれも含めた「日本でのビジネスエコシステム」を広げていくことにあるのではないか。

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