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日立製作所が説く「AIエージェント活用の目的」とは? AI事業のキーパーソンに聞く

ITmedia エンタープライズ / 2025年1月29日 7時0分

 「AIエージェントはオフィスワーカーをはじめ、さまざまな作業現場で働くフロントラインワーカーにとっても非常に高い生産性向上につながる技術だと捉えているので、ぜひ多くの方々および企業に使っていただきたい。AIエージェントが高い生産性を上げる可能性があるのは、生成AIは業務のタスクが対象なのに対し、AIエージェントは業務プロセスに向けて自律的に作用するので、効率化できる範囲が格段に広がるからだ。加えて、AIエージェントはオフィスワーカー向けの話題が中心になりがちだが、幅広い製造現場を持つ当社としてはフロントラインワーカーにも大きな効果が見込めることを強調したい」

 一方、課題については、「AIエージェントに学習させるデータとして、ドキュメント化されている“形式知”だけでなく、ドキュメント化されていない熟練者のノウハウのような“暗黙知”も取り込む必要がある。そうでないと、ワーカーの業務を代行するエージェント(代理人)にはなれない」という点を挙げた。

 オフィスワーカーだけでなくフロントラインワーカーにも着目した日立らしい課題提起だ。

 とはいえ、暗黙知もデジタルデータ化する必要がある。この点について同氏は、「手段は幾つかある。例えば、暗黙知を持つ熟練者に聞き取りしてテキストデータにする。また、言葉では言い表せない感覚的な暗黙知については、動画を撮ってその内容を生成AIでデータ化するといった具合だ」と説明した(図1)。

 課題についてはもう一つ、「生成AIの活用はアプリケーションとして捉えてもよかったが、AIエージェントは業務プロセスにおいてさまざまな動きをするのでシステムとして捉える必要がある。複数のAIエージェントが連携して業務を動かすことになるので、それらのデータの管理や活用も含めて事業部門あるいは企業全体の業務形態を見据えて、AIエージェントを活用するシステムの設計から構築、運用の仕方についてあらかじめ考えて臨むことが望ましい」とも述べた。

 「AIエージェントはシステムとして捉えるべき」という同氏の指摘は重要だ。現実的には一部の業務からAIエージェントを活用するケースが多くなるだろうが、そこからその事業部門、さらには企業全体の業務プロセスに広げるつもりならば、早い段階でAIエージェント活用のグランドデザインを描くべきだろう。

●日立製作所が説くAIマネジメント対策

 AIマネジメント対策について、吉田氏は次のように語った。

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