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「Snapdragon 8 Elite」は何が進化したのか PC向けだったCPUコア「Oryon」採用のインパクト

ITmedia Mobile / 2024年10月28日 16時15分

 ところが、今回Snapdragon 8 Eliteで採用されたOryonのコア構成では、4.32GHz動作のPrimeコアが2つ、3.53GHz動作のPerformanceコアが6つとなっており、変則的な非対称構成ではなくなった。Efficiencyコアを廃して、どちらかといえば“高パフォーマンス”寄りの設計が行われている。特にPrimeコアが2つになったことで、Snapdragon 8 Gen 3と比べてパフォーマンスの上限が伸びやすい形となった。

 今回のSnapdragon 8 EliteのようなCPUコアの構成は、どちらかといえばPC製品向けといえ、特にマルチスレッド処理での効果が高い点が挙げられる。Snapdragon 8 Gen 3のようにモバイル向けSoCでのCPUで“Primeコアが1つだけ”という構成が選ばれることが多いのは、複数のアプリケーションを同時に動かすことが多いPCに比べ、モバイルではフォアグラウンドで動作するアプリの処理のみが優先されるという違いによる。

 この設計変更について米Qualcomm製品マネジメント担当シニアディレクターのKarl Whealton氏は、実際のアプリの利用スタイルを反映して最適化したものだと説明する。「異なる種類の多くのコアを抱えないことは、スケジューラをシンプル化する上で重要だ。これは特にモバイルゲーミングなど一部のワークロードで高パフォーマンスでのマルチスレッド処理を行う上で重要となる」(Whealton氏)と述べ、高負荷時のマルチスレッド処理をコア間で分散させやすくなることで、従来よりも性能を伸ばしやすくする効果があると述べている。

 また、Efficiencyコアが削除されたことで、従来のようなアイドル時の低消費電力動作が難しくなるような印象があるが、これについても「低消費電力のための専用コアを載せるより、多目的に使える汎用(はんよう)コアを採用した方が設計上メリットがある」という考えで、結果として従来のEfficiencyコアのような役割をPerformanceコアに担わせることが可能な設計となっているようだ。

●メモリアクセスの高速化とキャッシュの配置で高速処理を

 コアの構成以外に、処理速度を高めるための仕掛けとして改良されたのが、メモリアクセスの高速化とキャッシュの配置だ。Snapdragon 8 Gen 3ではCPUコア全体に12MBのL3キャッシュをひも付けていたが、Snapdragon 8 EliteではPrimeとPerformanceのCPUコアのブロックにそれぞれ12MBのL2キャッシュを割り当てている。

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