1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. モバイル・アプリ

「Snapdragon 8 Elite」は何が進化したのか PC向けだったCPUコア「Oryon」採用のインパクト

ITmedia Mobile / 2024年10月28日 16時15分

 Snapdragon 8ではもともと世代ごとにL3などのキャッシュ容量が大きく増加される傾向があったが、よりプロセッサコアに近い場所に大容量キャッシュを配置することで、前世代の5~12ナノ秒だったレスポンスタイムが5ナノ秒以下にまで縮小された。LPDDR5x自体のアクセス速度も向上しており、結果としてより高速処理が可能になっている。この設計変更についても前述のWhealton氏は「レスポンスタイムの向上が高速動作の上で最も効果が高くなる」と述べている。

 最初にOryonを搭載したSnapdragon X Eliteでは、4つのCPUコアを束ねて1つのクラスタを構成し、クラスタ単位でL2キャッシュが配置されたものが3つ並び、4コア×3クラスタの計12コアという組み合わせだった。Snapdragon 8 Eliteのブロックダイヤグラムを見る限り、前例にならえばPrimeとPerformanceの2つのクラスタから構成されており、Snapdragon X EliteのOryonをモバイル向けにアレンジしたようなイメージに見える。だが実際のところWhealton氏によれば「基本部分から見直しを行っている」とのことで、単純にクラスタやコア構成を変更しただけというわけではなく、モバイル動作に最適化するよう設計し直された製品になっている。

 QualcommではSnapdragon 8 Eliteで採用されたOryonコアを「第2世代」と呼んでおり、Arm v8の命令セットに準拠した第1世代同様の独自設計プロセッサコアと位置付けている。この世代の最大の特徴といえるのがシングルスレッド性能を大幅に強化した点で、特に低消費電力動作時のパフォーマンスは第1世代Oryonとの比較のみならず、IntelやAMDらライバルの最新世代PC向けプロセッサのそれを上回っていることを強調している。また同時に電力効率の高さも引き続きアピールしており、必要なときは高パフォーマンスを引き出しつつ、通常利用時はモバイルならではの低消費電力動作で長時間駆動を実現する。

●オンデバイスAIは実利用を想定したチューニング レシートを読み取って割り勘も

 Oryonの部分にばかり注目が集まりがちなSnapdragon 8 Eliteだが、全体的なチューニングを施すことで現在のスマートフォンでよく利用されるアプリが快適に動作し、また将来的に登場するアプリやソリューションについても十分な性能で利用できるようチューニングが行われている。例えばGPUのAdrenoはSlice型のアーキテクチャに変更されており、独立した3つのSliceが並列動作する形で4割程度パフォーマンスと低消費電力動作を向上させ、レイトレーシング時の動作も35%の向上が見込まれるなど、特にゲーミングでの性能引き上げを図っている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください