1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. モバイル・アプリ

「AI-RAN」でソフトバンクのネットワークは何が変わる? ユーザーのメリットとビジネス上のインパクトを解説

ITmedia Mobile / 2024年11月16日 9時35分

「AI-RAN」でソフトバンクのネットワークは何が変わる? ユーザーのメリットとビジネス上のインパクトを解説

ソフトバンクは、AI-RANの製品となるAITRASを発表した。2025年度の商用化を目指す。写真は、実証実験に使われた富士通製の無線機

 ソフトバンクは、11月13日にAI-RANのコンセプトを具体化した「AITRAS(アイトラス)」を発表した。AITRASは、神奈川県藤沢市の慶應義塾大学・湘南藤沢キャンパス(SFC)で実証実験が行われており、この基地局ソリューションは報道陣にも公開された。仮想化した基地局制御に採用されるGPUのコンピューティングリソースを生かし、無線通信だけでなく、生成AIも同時に動作させるのがAITRASの特徴だ。

 公開されたデモでは、画像をマルチモーダルAIで解析し、犬型ロボットが不審者を追尾する様子や、自動運転車が検知した走行上のリスクを言語で監視者に伝える様子などが確認できた。いずれも、無線ネットワークを制御するのと同じサーバ上で駆動しており、処理にはNVIDIAのプロセッサ「NVIDIA GH200 Grace Hopper Superchip」が活用されている。

 AI-RANのコンセプトは、2月にスペイン・バルセロナで開催されたMWC Barcelona 2024で披露されていたが、その具体像が早くも明らかになった格好だ。ソフトバンク自身は、NVIDIAのGPUやAIプラットフォームの「NVIDIA AI Aerial」を基盤として活用しつつ、無線信号の処理ソフトウェアやそれらを管理するオーケストレーターを開発し、AITRASとしてまとめ上げた。そのインパクトを、詳述していく。

●仮想化ネットワーク用のGPUでAIアプリも動作させるAITRAS

 ソフトバンクの開発したAITRASは、無線を制御するためのDU(Distribution Unit)を仮想化したソリューションになる。一口に基地局と言ってもそれを構成する要素は複数あり、電波を実際に発射、受信するためのRU(Radio Unit)や、アクセス処理、プロトコル処理をつかさどるCU(Central Unite)に加え、信号の処理を行うDUに分かれる。もともと専用ハードとして一体化していたが、5GではCUとDUに機能分離された。そのCUやDUを汎用(はんよう)的なコンピュータ上のソフトウェアにしたのが、仮想化と呼ばれる技術だ。

 AI-RANとは、仮想化にあたって実装されたコンピュータの処理能力を生かし、その基盤上で無線信号の処理だけでなく、AIも同時に駆動させてしまおうというがその主な中身になる。実際、ソフトバンクのAITRASでも、NVIDIAのCPU/GPUを使い、ソフトバンクのアプリケーションとして、無線制御“以外”のエッジAIを動作させている。SFCで披露されたデモの多くは、それだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください