QualcommのSnapdragonはどこへ向かうのか 鍵を握る「車載システム」への領域拡大
ITmedia Mobile / 2024年12月14日 6時5分
このように、2024年のSnapdragon Summitでは車載コンピューティングが大きなテーマとして扱われ、全セッションの半分程度はこの話題が占めていたほどだ。前述の通り、Qualcommは現在IoTと並んで車載コンピューティングを成長中の重点テーマの1つとして扱っており、11月19日(米国時間)に開催された「Investor Day 2024: IoT and Automotive Diversification Update」中で、Amon氏は今後450億ドル規模のプロジェクトのパイプラインが進行中と述べている。
加えて、全体の3分の1程度が「ADAS(先進運転支援システム)」に付随するものだという。いわゆるレベル3以上の自動運転の世界では必須の仕組みだが、センサーで周囲の状況を素早く判断し、ドライバーに必要な情報を通知、あるいはドライバーに代わって自身が運転の代行や補助を行う。
もともとQualcommをはじめとするIT業界のベンダー各社はカーナビやメディア再生を含むスマートフォン連携の世界から車載システムへと入り込んでおり、それがApple CarPlayやGoogle Autoなどの取り組みにつながっている。いわゆる「インフォテインメント(Infotainment)」だが、あくまで車の制御系とは別のカテゴリーであり、オプション的な性格の強いものだった。
Amon氏がいうように、ADAS込みで3分の1の割合を占め始めたということは、それだけ本命である車の制御部分(DCU:Domain Control Unit)に足掛かりを得つつあることを意味する。いわく、自動車メーカーに連なる全てのOEMと何らかのパートナーシップを同社は結んでいるといい、裏方として表には出ないものの、今後インフォテインメントを含むADAS搭載車の世界ではQualcommの製品が使われている可能性が高いということだ。
イベントのステージでは欧米や中国のLi Auto(理想汽車)の事例などが中心に紹介されていたが、実際には日本のOEMメーカーとも密に連携しており、水面下でリリースに向けた準備が進んでいる。米Qualcomm Technologies製品マネジメント担当シニアディレクターのMark Granger氏によれば、スマートフォン時代からのパートナーであるソニーの例を挙げている。同社はホンダと共同でソニー・ホンダモビリティを設立しており、「AFEELA」ブランドでプロトタイプのデモンストレーションを行っている。
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