1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. モバイル・アプリ

QualcommのSnapdragonはどこへ向かうのか 鍵を握る「車載システム」への領域拡大

ITmedia Mobile / 2024年12月14日 6時5分

 Granger氏はホンダがQualcommの持つ車載向けのCockpitソリューションの最初の顧客の1社であり、現在第3世代または第4世代のCockpitソリューションの開発を進めていると説明する。ベースがホンダとの協業で開発が進む中、コンシューマーに強みを持つソニーの体験が加わることで、2025年に何かしらの発表ができると述べている。実際、ソニー・ホンダモビリティは2025年1月に米ネバダ州ラスベガスで開催されるCESへの出展を発表しており、恐らくここで最新モデルのお披露目が行われることになるのではないかと考える。

●モバイルとは大きく条件の異なる車載コンピューティングの世界

 このようにモバイル出身のSoCやソリューションが車載システムへの進出を続々と進めているわけだが、一般的なコンシューマーデバイスのビジネスとは大きく異なるポイントが2つある。1つはパフォーマンスの部分で、車全体のデジタル制御を行うため、スマートフォンやPCなどと比べても倍以上の性能が要求されることになる。

 「堅牢(けんろう)な安全性は第一として、車載向けには非常に革新的なマルチコアソリューションが導入される。これは自動車で要求される同時実行に非常に重要だからだ。スマートフォンやPCであれば通常は1つのタスク、場合によっては2つや3つのタスクで済むが、社内ではドライバーが複数の用途に活用する上、同乗者や後部座席の乗客もいれば、SoCに対する要求はさらに高まることになる。オーディオなどもそうだが、これらの要求を適切な信頼性と品質で同時に提供できる必要がある」(Granger氏)

 実際のところ、現在のADASではドライバーはほぼ運転にかかりきりで、地図やセンサーによる周辺情報の収集など、運転に関するシステム補助を受けるのが精いっぱいだ。一方で、同乗者や後部座席の乗客は移動時間をずっと車内で過ごすわけで、必然的にインフォテインメントの重要性が高まる。高音質のオーディオシステムなどもその一環であり、アプリの同時実行や動画再生のみならず、本来であればスマートフォンやタブレットが複数台必要な用途を1つのシステム(Snapdragon Digital Chassis)をカバーする必要があり、必然的に相応のパフォーマンスがシステム内に盛り込まれることになる。

 そしてコンシューマーデバイスとの違いでもう1つ重要なのが、耐用年数だ。これはIoTの分野にもいえるが、スマートフォンを含む一般的なコンシューマーデバイスの買い換えサイクルがかつては2~3年、近年では4~5年程度が平均といわれるが、IoTなどの組み込み機器の世界では10年以上というのも珍しくもなく、特に中古市場の存在する自動車の世界では「10~15年程度を見据える必要がある」(Granger氏)という。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください