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技術者「本当にやるの?」──わざと光を被らせるエフェクトを搭載した大胆なインスタントカメラ、富士フイルム「INSTAX mini 99」開発秘話

ITmedia NEWS / 2024年4月29日 12時10分

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今回の取材に応じて頂いた、企画の高井隆一郎さん(写真=右)と、開発の橋口昭浩さん(写真=左)

 富士フイルムの「INSTAX mini 99」というカメラが面白いのは、それが久しぶりに登場した「写真とは光だ」ということを思い出させてくれるからではないかと思う。それは、フィルムだろうとデジタルだろうと変わらない事実だ。しかし、あまりに写真が簡単に撮れるようになって、まるで写真とは目の前にあるものを撮るもののように錯覚してしまっていた。

 当たり前だが、CCDだろうとCMOSだろうと、35mmフィルムだろうと、チェキフィルムやポラロイド・フィルムのようなインスタント写真用のフィルムであろうと、レンズを通して入ってきた光に感光するという点では変わらない。つまり、記録されるのは光だ。

 だから、真っ暗なところでは写真は写らない。iPhoneのナイトモードは、夜が夜っぽく写らない、すごいけどある意味困った機能だが、それでも真っ暗闇だと、やっぱり何も写らないのだ。

 インスタントカメラもフィルムカメラである以上、フィルムカメラならではの本格的な撮影ができるカメラが欲しい。そういうニーズに応えるように登場したのが、2013年に発売された「INSTAX mini 90」だった。ストロボの強制発光や発光禁止、マクロモード、バルブモード、濃淡調整(露出補正)、遠景モードや速い動きに対応するキッズモード、三脚穴の搭載に、縦横撮り用の2つのシャッターボタンなど、本格的な作品作りを可能にするカメラのカメラとしての機能を満載したモデルだった。

 一方で、デジタルとアナログのハイブリッド的なカメラである「INSTAX mini Evo」では、撮影そのものをデジタルで行うことの利点を生かして、プリント前に撮影した写真を確認することができたり、デジタル処理によるフィルターを搭載したりと、デジカメ的な絵作りを行った上で、画像データをRGBに分解してレーザーでチェキフィルムへ感光させるという方式を採用。スマホ写真的な操作感と、「モノ」として写真を出力できるチェキの強みを合体させた。

 INSTAXは、現在世界100か国以上で販売されているグローバルブランド。「don't just take, give.(とるだけじゃない、あげたいから。)」をグローバルタグラインとして、コミュニケーションツールとしての写真の楽しみをアナログ・デジタル問わず提供している。

 その上で、「INSTAX mini 90」の次の展開として登場したのが「INSTAX mini 99」ということになる。

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