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ニッチだが奥深い「映像伝送」の歴史 コンピュータ・グラフィックスからIP伝送まで

ITmedia NEWS / 2024年6月27日 11時5分

 コンピュータ内でも、動画ファイルフォーマットとしてQuickTimeが登場したのは91年だったが、とても放送に耐えられるような画質ではなかったことから、CGは静止画の連番ファイルで出力・管理されるのが普通だった。

 レンダリングが完了した1コマずつの出力を、RC-232Cで制御可能な外部のレコーダーにコマ撮りしていくことで動画にしてゆく。当時、メモリベースのデジタルレコーダーは数千万円であったが、デジタルディスクレコーダーのAbekas「A-62」はメモリレコーダーよりもはるかに廉価で、人気となった。

●ノンリニアシステムとCG出力

 ノンリニア編集システムの第1世代は、89年に発売されたAvidの「Avid/1」である。当時のMacintosh IIの筐体に専用I/Oボードを入れて映像の入出力を可能にしたシステムだ。90年ごろには日本にも導入されたが、アナログのI/Oしかなく、テレビ放送としては画質に課題があった。よってオンラインでは使われず、もっぱら仮編集を行うオフライン編集に使われた。

 むしろノンリニアビデオ編集を語る上では、95年に登場したIEEE 1394の存在が大きい。この規格はFireWire、i.LINK、DV端子という形で広く普及した。コンピュータ側にIEEE 1394インタフェースカードを挿し、簡単なコントロールソフトウェアがあれば、コンシューマー用デジタルビデオカメラ(DVカメラ)から完全フルデジタルでキャプチャーと書き込みができた。さらにコンピュータ側からタイムコードを指定して、テープ走行もコントロールできた。

 当時の放送用編集システムは、映像・音声系の結線と、編集機からテープデッキを操作するコントロール系の結線は、完全に別系統になっていた。それがコンシューマーでは、ケーブル1本で映像・音声・コントロール系が伝送できていたわけである。当時この点においては、プロ用のシステムを超えていた。

 これをきっかけにコンピュータ業界から映像業界に転身したのが、当時のカノープスである。もともとはPC向けグラフィックスカードで知られていたが、IEEE 1394のDV編集システムを次々とリリース、これがGrassValleyに買収され、EDIUSやデジタルレコーダー製品などにつながっていった。

 デジタルレコーダーについては、別の流れがある。安価なCGの書き出しにはスキャンレートコンバーターが有効であったが、93年にカナダのDPS(Digital Prosessing Systems)社がAMIGA向けにPersonal Animation Recorder(PAR)を開発したことは大きかった。

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