ニッチだが奥深い「映像伝送」の歴史 コンピュータ・グラフィックスからIP伝送まで
ITmedia NEWS / 2024年6月27日 11時5分
13年に東京オリンピックの開催が決定し、4K放送実現へ向けて多くの機材やシステムの開発が活発になっていった。4KのSDI伝送はすでに前稿で述べたところだが、これまでは放送で注目されてこなかったIP伝送が一躍注目を集めるようになった。
それというのも、4Kの伝送では3G-SDIケーブルが4本必要になることから、結線が煩雑になるばかりか、ケーブル重量も4倍になる。そうなると4K中継車の重量が重すぎて山越えができないという、バカバカしくも深刻な問題があきらかになったからだ。
一方IP伝送であれば、1本で済む。IP伝送は通信業界を中心に「SMPTE 2022」として国際標準規格化されてきており、14年には「2022-5」及び「2022-6」としてベースバンド(非圧縮)伝送が規定されたことで、放送業界で一気に注目を集めた。
IPに商機ありとして、15年あたりから多くのメーカーが殺到した。同年には12G-SDIも実用化されたが、まだ国際標準規格ではなかったため、対応機材が少なかった。
●NMI、NDI、SRT……IP規格乱立と収束
15年当時、イーサケーブルによる伝送は10Gbpsが主流であった。だが4K映像は12Gbpsである。圧縮しなければ流せない。ベースバンド規格なのに圧縮が必要という矛盾を抱えることとなった。隙があれば競争が生まれる。
スイッチャーや伝送系の老舗GlassValleyは2022-5/6をプッシュする一方、ソニーは独自規格として「ネットワーク・メディア・インタフェース」(NMI)を立ち上げ、カナダEvertzは「ASPEN」を立ち上げた。NewtTekはTriCasterの中核技術である「ネットワークデバイスインタフェース」(NDI)のライセンスを無償化するなどして、対抗した。14年にカナダのHaivisionが開発した「SRT」(Secure Reliable Transport)は出遅れて、17年にオープンソース化された。
規格が乱立すれば、各社それぞれがアライアンスを組み、機器メーカーの囲い込みが起こるわけだが、15年12月に発足したAlliance for IP Media Solutions(AIMS)により、方式の共存が計られることとなった。創設メンバーのGlassValleyや日本法人の幹事会社であるパナソニックは、IP製品は全方式に対応するという方向性を打ち出した。
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