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ゼルダの伝説TOTKの「スクラビルド」誕生秘話 現場の「ムリでは?」な雰囲気、どう解決したか ディレクターが語る

ITmedia NEWS / 2024年8月23日 10時11分

 しかし「推理して、実行して、その結果を楽しむ」というコンセプトに従うと、“合体案”は「完成したアイテムの見た目から、結果を事前に想像・推理しにくくなる」として不採用に。見た目が機能を表せるように、モノとモノがくっついた形になることが決まった。すると、今度は「いくつもくっつけられたら面白いのではないか」「角度も自由にできたら面白いのではないか」というアイデアが出てきた。

 ただし、これらのアイデアには問題点もあった。組み合わせが膨大になることだ。そもそもTOTKには大量のアイテムがあり、さらに自由な向きでくっつけられるとなると、パターン数は膨大になる。

 スクラビルドのアイデアを聞いたエンジニア陣からは「アイテム同士の効果をどのように反映するか」と、デザイナーやアーティストからは「くっつけた後の見た目はどういう法則で決めるのか、見た目の不具合の確認はどうするのか」、サウンドデザイナーからは「組み合わせ時の音声はどうするのか」、ゲームデザイナーからは「組み合わせたアイテムの命名規則はどうするのか」といった問題が提起された。結果「『ムリでは?』という漠然とした空気がチームを覆った」(藤林さん)という。

 しかし「ムリでは? という空気に流されず、本当に実現が無理なのか知るため、ある作業を行った」と藤林さん。それは、浮き彫りになった問題の分解だ。まず、スクラビルドに関するアイデアや仕様を「希望・願望」(ウィッシュリスト)と「不可欠な仕様」(プランリスト)に分解したという。

 例えば、ウィッシュリストには「敵を操れる笛と、剣を組み合わせたら、振るだけで敵を操る剣が作れる」「グライダーの機能を持つアイテムと盾を組み合わせたら、背負うだけで滑空できるアイテムになる」といったアイデアを振り分け。一方でプランリストには「見た目が機能を表す」「素材を複数個、自由な場所にくっつける」といった仕様を振り分けた。

 その後、仕様として不可欠なプランリストから優先して、「組み合わせが膨大」というポイントにつながる部分をさらに分解・検証していった。

 例えば、たくさんのアイテムをくっつけたら本当に面白くなるのかを、テスト環境で実際に遊んで検証。結果、たくさんアイテムをくっつけると「相手を狙いにくくなる」「4本の武器をくっつけた武器を持つより、2本の武器をくっつけた武器を2セット持っていた方が便利」ということが分かった。さらに、くっつけるものが増えると、完成したアイテムの見た目から機能を推理しにくくなり、「見た目が機能を表す」というコンセプトに沿わないことも明らかになった。

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