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ゼルダの伝説TOTKの「スクラビルド」誕生秘話 現場の「ムリでは?」な雰囲気、どう解決したか ディレクターが語る

ITmedia NEWS / 2024年8月23日 10時11分

 ただし、この確認作業は手間が膨大だった。開発機でゲーム内のカメラを回しながら確認し、アイテム一覧画面に移動して名前がおかしくないかチェックしなくてはいけない。確認のタイミングは、アーティストが武器やアイテムの見た目を作成・変更した後や、プロジェクトの区切りなど。確認はある程度数を絞って行う方針だったが、それでも都度チェックするのは負担が大きく、見た目の変更がためらわれる事態にもつながりかねなかった。

 そこで、ゲーム開発を支援するツールやそのインフラを手掛けるゲーム開発インフラチームは、スクラビルドで生まれたアイテムをあらかじめ撮影し、その写真を確認することで、おかしな点がないかチェック可能な仕組みを整えた。

 とはいえ、ただ画像がフォルダ内に並んでいるだけでは、チェックの手間はさして減らない。よりチェックを便利にするために、廣瀬さんはあるツールを使うことにした。それは、アーティストがアイデアやスケッチを記録するために使っていた社内の画像掲示板だ。

 画像掲示板はもともとゲーム開発インフラチームが開発したもの。ここにスクラビルドで作成できるアイテム画像をアップロードしたり、一覧化や絞り込み検索をしたりできるようにした。気になった点があったときは、対応が必要な旨を示せる仕様に。画像掲示板のボタンを押すだけで、ゲーム上に画像のアイテムを出現させたり、キャラクターに装備させたりする機能も用意した。これにより「まずは画像で確認し、気になる点があればそのままゲーム内で確認できる」フローを実現したという。

 この改善には思わぬメリットもあった。画像の撮影・投稿は見た目を変更したタイミングで毎回行う決まりで、履歴も残せた。この履歴から、バグなどの問題がいつから起こったか追えるようになったという。これにより、12万通りの組み合わせのチェックは「現実的な範囲に収まった」(廣瀬さん)。

 この評判はプロジェクト内で広がり、他の用途でも使われるように。例えば風による衣装の揺れの挙動確認にも使われたという。余談だが、廣瀬さんらゲーム開発インフラチームでは、開発者の悩みを直接解決するのではなく「開発者が自由に発明できる仕組みを作る」方針を取っていたため、利用の幅が広がったことも想定の内だったとしている。

●開発サイクルを円滑化「ルピー掲示板」

 スクラビルド含むTOTKの開発においては、藤林さんなどディレクター陣ではなく、廣瀬さんたちのチームが発案した仕組みが役立つこともあったという。その最たるものが「ルピー掲示板」だ。

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