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ゼルダの伝説TOTKの「スクラビルド」誕生秘話 現場の「ムリでは?」な雰囲気、どう解決したか ディレクターが語る

ITmedia NEWS / 2024年8月23日 10時11分

 ルピーはゲーム内通貨の名前。もともとゲーム開発インフラチームが作っていた掲示板を独自にカスタマイズし、開発サイクルの改善に活用したという。

 TOTKでは、(1)新しいアイデアやシステム、仕様を発案する、(2)メンバーに説明し、理解してもらう、(3)実装する、(4)区切りごとにメンバー全員でプレイし、より良くできる点や気付きを探す、(5)得た情報を集約する、(6)集約した情報を精査する──という開発サイクルを回していた。ただ、特に(4)~(6)は膨大な情報を収集・集約する必要があり、効率化が求められた。

 そこで役立ったのがルピー掲示板だ。ルピー掲示板は、(4)で得た気付きを投稿できる場所。「良かった」もしくは「気になった」点についてコメントでき、誰が投稿したのかも明記される。対応がなされたり、対応の方針が定まった場合は担当者や関係者などがその旨を入力するため、掲示板をそのまま作業管理ツールや、精査時の資料として活用できたという。

 最大の特徴は投票機能だ。他の人の投稿で、共感できるものがあった場合、一人1ルピー(1票)を投票できる。これにより、共感した人がどれだけ多いか可視化する仕組みだ。ルピーが多い順に並べ替えることで、共感する人が多い投稿を絞り込むこともできた。

 「投稿について、どのように議論が行われ、何が取捨され、どういう経緯で結論が出たか、チームメンバー全員がダイレクトに閲覧できたので、透明性や納得度が高く、伝言ゲームのようにならない正確な情報共有ができた」(藤林さん)

 ただ、この掲示板には「誰のどんな投稿がルピーを獲得したか」が誰にでも分かってしまうため、ともすれば作業に携わったメンバーを委縮させてしまうリスクもあった。

 そこでチームでは「意見ではなく情報を書く」といったルールを設け、これを抑止したという。例えば「トゲを食らってゲームオーバーになった、理不尽だった」はNG、「トゲを食らってゲームオーバーになったのは理不尽に感じた。なぜなら、右から見ていたときはトゲが見えたのに、左からは見えず、不意打ちのようになったから」はOKという具合だ。

 他にも「認識が変わったら追記すること」「掲示板では議論はしない。同じ事象に対して別の意見があるなら、それは別途投稿すること」というルールも設けたという。スクラビルドについても、ルピー掲示板を発端として機能改善があった。例えば、当初は実際にアイテム同士をくっつけるのに5つの手順が必要だったが、面倒という意見が共感を集め、3手順に短縮したという。

 「スクラビルドができるに当たっては、アイデアの発案はもちろん、事前の問題解決という準備を行い、ゲーム開発インフラ側でもチェックの効率化という準備を行い、実装する人に落とし込んでいった。これらの準備を有効に運用するために、発案側はチーム文化の形成を、ゲーム開発インフラ側はサービスの用意という準備のための準備をしていた。今回の話はスクラビルドができるまでの全てではないが、ゲーム開発の一助となれば幸い」(藤林さん)

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