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「ゼルダの伝説 ティアキン」制作の舞台裏 「トーレルーフ」が生まれるきっかけとなった“3つのアイデア”

ITmedia NEWS / 2024年8月28日 8時5分

 加えて、地形コリジョンの裏側判定という、従来は困難だった処理も実現。これは、3D空間内のある地点が地形の表側(プレイヤーが通常アクセスできる側)にあるのか、裏側(通常はアクセスできない地形の内部や裏面)にあるのかを正確に判断する技術だ。この技術により、プレイヤーが地形の裏側に入り込んでしまうようなバグの防止や、複雑な洞窟などの3D環境でも正確に「内側」と「外側」を区別できるようになった。

 この手法により「一貫した地形情報へのアクセス手段」を提供することを実現。これは洞窟や空島を含む全ての環境で統一的に地形情報を参照でき、異なる環境間での挙動の不整合を防ぐことができた。

●「洞窟システム」で地形制作を自動化

 ゲーム内の地形制作を担当する、リードアーティストの竹原学さんは、ティアキンの開発で、前作の2.5倍の広さを持つ世界の制作に取り組んだ。竹原さんが直面した最大の課題は、この膨大な規模の地形を限られた人員でいかに効率的に制作するかということだ。しかし、単純にデータ制作を効率化するだけでは不十分だった。

 重要なのは、ゲームの遊びに基づいたアート表現を想像し、最終的なゲーム体験にどう結び付くかをアーティスト自身が確認すること。竹原さんはこの課題に対して“効率化と創造性は対立概念ではない”と考え、2つを両立させる方法を模索した。その一例が200以上ある洞窟の制作プロセスだ。

 竹原さんのチームは、遊びの要素を手作業で設計しつつ、それ以外のアート要素の適用を自動化する「洞窟システム」を開発した。このシステムにより、レベルデザインとアート制作を並行して進めることが可能になり、作業効率が向上したという。

 洞窟システムの成功を受けて、このアプローチは他の地形制作にも展開。空島の自動3Dモデル生成や、地底の鍾乳洞の自動生成など、さまざまな場面で活用した結果、洞窟システムは費用対効果の高いソリューションとなった。

 さらに、この取り組みは副次的な効果も生んだ。当初は手作業にこだわっていたアーティストたちが、自ら自動化を提案するようになったのだ。これは、効率化の中でも大事なものを見落とさないように心掛けた結果でもあった。

●コログ1000体、裏世界の穴……地形デバッグも効率化

 地形のデバッグ効率化も重要な課題だった。例えば、ハイラル全土に1000体以上存在するコログの確認作業を効率化するため、コログ自動撮影システムを導入。これにより、地形変更の度に全てのコログを目視確認する必要がなくなり、作業時間が大幅に短縮できた。

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