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「もう電波放送は終わっていいんじゃないか」――イギリス放送通信庁の提案、ネット完全移行は現実的か?

ITmedia NEWS / 2024年10月23日 14時57分

 ただテレビ視聴時間は減り続けており、20年のコロナ禍特需時期を除いて減少傾向にあることは間違いない。また英国はかなり早くからテレビの見逃し配信を行っており、スマートテレビに統合された「一時停止」や「最初から再生」といった機能を使って、リアルタイム視聴以外の方法のほうにメリットを感じる層も出てきている。

 年齢別のリアルタイムテレビ視聴時間をみても、おおむね減少傾向が見られる。全体では、18年の視聴時間からすると、23年では30%も減少している。減少傾向は若い世代ほど顕著で、24歳以下の層は1日わずか30分未満しか試聴していない。28年には、16歳から24歳の層は1日平均13分しか生放送を視聴しなくなると予想する例も出てきている。

 テレビ放送への依存傾向が見られる高齢者層は比較的減少率は穏やかだが、影響がないわけではなく、放送事業者が行う独自VoDへのシフトは、前年度比33%増となっている。

 一方でテレビ放送におけるライブ放送は強いコンテンツであり、23年における個人の平均視聴時間のうち、約40%がライブ放送であった。国王とカミラ王妃の戴冠式の模様は視聴者数1000万人を記録した。女子ワールドカップ決勝のスペイン対イングランドも590万人となっている。

 またオンデマンド視聴は、ライブ放送時間と切り離して考えがちだが、実際にはほとんどの視聴はライブ時間から15分以内に行われている。やはりライブイベント中継というのは、コンテンツとしての力があるということだろう。

 テレビ放送の視聴方法は、20年を境にスマートTVが急増しているが、スマートTVをネットに接続していない層が23%ほどあり、機材的にはレディだが環境が整うまではもう一押しが必要である。

 一方地上デジタル放送(DTT)のみのテレビ所有者は減少傾向にある。ただし完全にゼロになることは考えられず、ここに高齢者や経済的弱者が取り残される可能性がある。

●独特の英国テレビ放送事情

 英国のテレビ放送事情を分析する前に、日本と英国の放送システムの違いについて把握しておく必要がある。日本はご承知のように垂直統合型で、1つのテレビ局がコンテンツを手配し、番組編成を行い、送出業務を行い、電波塔など放送インフラの管理運営を行っている。

 一方米国は水平分業型で、ハードとソフトが完全分離している。テレビ局はソフト面、番組制作を行うのみだ。

 ハード面でも分業化されている。番組編成や送出業務は、別の事業者が行っている。Red Bee Mediaというのが最大手のようだが、他にも事業者があるようだ。英国は各放送局が同じ周波数帯を使うマルチプレックス方式なので、このマルチプレックスを行う事業者というのがある。これは免許制で期限がある。電波塔を含めた放送網を管理運営する送信事業は、Arqivaという事業者がほぼ独占であるという。

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