スマホだけじゃない、家電メーカーとして攻勢をかけるシャオミ 新製品に見る、日本市場の“攻め方”
ITmedia NEWS / 2024年10月24日 14時24分
例えばGoogle Pixelを公式サイトで購入する場合、他社製スマホも下取り対象としているが、Xiaomi製品はその中に入っていない。いわば「バリューなし」としてランク付けされているわけだ。Xiaomiとしては、ブランド力向上が喫緊の課題である。
そこで頼りにするのが、Leicaのブランド力だ。XiaomiとLeicaは22年に長期的なパートナーシップを結んでおり、カメラ部分における協業は今年で3年目となる。14Tシリーズでは、撮影された写真データに、Leicaロゴをあしらった撮影データが書き込まれるモードが搭載されている。14 Ultraの半額であっても、どうしてもLeicaブランドを搭載する必要があった、と見るべきだろう。
もちろん協業の成果は、性能にも現われる。今回のイベントで強調されたのが、暗部撮影性能である。14bit色深度のRAWデータ8枚を重ねて処理することで、SNを向上させる技術だ。夜景の「エモさ」とLeicaブランドで差別化を図るということだろう。
スマートフォンの夜間撮影については、20年頃からトレンド化し始め、iPhoneやPixelでは長時間露光モードや専用の夜景モードを搭載するようになった。数秒間カメラを固定することで、暗所でも明るく撮影する技術だ。一方14T Proでは、1/10秒程度のシャッタースピードでかなり明るく撮影できるようだ。重ね撮りのスピードを飛躍的に向上させることで、通常の撮影と変わりないレスポンスを提供するという事だろう。
カメラ機能はいまだスマートフォンの強い差別化要素だが、昨今ではもう1つの軸が出てきた。AI対応である。Googleは自前のAI「Gemini」を大々的にアピールし、出遅れたAppleは「Apple Intelligence」こそがAIの本質であると主張する。
その中でXiaomiがアピールするのは、AIをエッジ側で処理するというアプローチだ。AI処理に強い「MediaTek Dimensity D9300+」を搭載することで、クラウド側ではなく、端末側で処理を行うという。現在は各社が提供するAIにて膨大な演算が行われており、クラウド側の消費電力やネットワークトラフィックの増加が社会的問題となりつつある。AIのエッジ処理は、それらに対する回答というわけだ。
さらに14T Proは19分でバッテリーをフル充電にできるという「120W Xiaomiハイパーチャージ」機能を備えている。120W充電対応は、20年頃から登場したXiaomiの独自技術である。なかなか追従するメーカーがないのは、それだけまねしにくいということもあるだろうが、もう1つはそれほど強いヒキになると考えられていないという事情もあるだろう。ユーザーが求める方向は、バッテリーが長持ちすることだからである。
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