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ガチャマシン開発者は「電源いらず」にこだわる? タカラトミーに聞いたカプセルトイ60年の歴史と矜持

ITmedia NEWS / 2024年10月31日 19時35分

 実は、カプセルトイのマシンを作っているのは、大きくはタカラトミーアーツと、もう1つの2社しかない。そして、それぞれに機械のメカニズムは独自に考案しているそうだ。だから、それぞれに特許を取って独自性を守っている。気軽に回しているガチャマシンは、実は沢山の特許技術が詰まっているのだ。

「スリムボーイの次に出たのが『ガチャ1』です。これが2000年で、ちょうど私が入社した年です。だから、実は私は入社してすぐに、このマシンの改良を担当したんです。その当時、同僚の先輩が開発したのが2005年の『ガチャ2』ですね」と福本さん。

●偽コイン対策が必要に

 ガチャ1は、その頃、偽コインが出回り初めて、その被害が無視できない規模になってきたため、その対策機構を盛り込んだマシンとして開発したのだそうだ。コインが通る場所は、それまでサイズを見て、それより小さいものは下に落ち、大きいものは通り道に入らずにやっぱり下に落ちる仕組みだったが、そこに金属の質が分かる精度の高い機械を入れた。これもセンサーなどは使わず、機械式のものを採用したという。

 ガチャ1は、そのセレクターを搭載するためのマシンだったこともあって、マシンとしては、「スリムボーイ」から、ほとんど変わっていなかった。

「急いで出したので、半完成品みたいなマシンだったんです。それで、スリムボーイ以来、オペレーターさんやユーザーさんからのフィードバックがたまっていて、自分たちでも改善したいと思っていた部分を採用して開発したものがガチャ2です」と福本さん。

 スリムボーイでは、100円から400円まで対応する機構を内蔵していたけれど、ガチャ1からは500円まで対応できるようにした。ただ、その機構がトラブルが多く、そのトラブルに対応できる人材として、アミューズメント・マシンの業界でゲーム機を作っていた藤本さんが入社したそうだ。

 「それで、入社前から気になっていて、転職の時から提案していた『空打ち問題』にも取り組みました。実は、ガチャ1までのマシンでは、中のカプセルがなくなってしまっても、お金を入れたらダイヤルが回せてしまうんです」と福本さん。

 その対策のために、内部に重さを検知するセンサーを入れて、乾電池で駆動させるメカニズムを開発。今から考えると、空打ち対策が長い間放置されていたことの方が驚いてしまうが、これは、ガチャの黎明(れいめい)期には、店舗一軒当たりのガチャの設置台数もさほど多くなく、大抵は、店の人が見える範囲で運用されていたことの名残りだったのだろう。

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