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思い出のVHSも見られない? “テープメディア終焉”の危機がせまる「2025年問題」を考える

ITmedia NEWS / 2024年12月26日 15時22分

 保存が終了するのは、あなたの寿命が尽きるまでだ。それを考えれば、自分よりも寿命よりも長く生き残りそうな企業のクラウドに預けた方が安全である。仮にクラウドサービスが終了することになっても、突然アクセスできなくなるということはないだろう。多くの場合は事前にサービス停止がアナウンスされ、移行期間が設定されるはずだ。

●プロはどう対策しているのか

 放送用のプロ向けテープフォーマットには、ベータカム/M-II/ベータカムSP/ベータカムSX/デジタルベータカム/D1/D2/D3/D5/DVCAM/DVCPro/MPEG IMX/HDCAM/HDCAM-SRなどがある。こうしたテープメディアは、再生するにはそれぞれのフォーマットに対応する再生機が必要であり、すでに再生できなくなっているもの、やがて再生できなくなるものがある。

 放送局では過去の放送番組をライブラリ化して保存しているが、90年代にテープメディアがデジタル化した際に、アナログテープは全てデジタルテープへダビングしてまとめられた。さらに00年代初頭のテープメディアがHD化した頃にも、こうしたダビング作業が行われている。

 10年代以降はライブラリの活用のために、テープメディアからオンプレミスのビデオサーバへ転写された。局によっては、利用頻度の高い番組はアーカイブ用ビデオサーバに、利用頻度の低い素材レベルのデータは、圧縮してLTOに保管していると聴く。LTOもテープメディアだが、まだまだドライブや新フォーマットの開発が続いており、データセンターなどでは現役である。

 一方で番組納品、あるいは番組送出などで使われてきたソニーのXDCAMことプロフェッショナルディスクは、24年7月にBlu-rayなどと共に生産終了が発表された。これはまだ局内で現役で使っているところもあるが、今後はシステムのIPなどにより、消滅していくことになる。

 ライブラリ用にプロフェッショナルディスクを複数枚カートリッジに入れた、オプチカル・ディスク・アーカイブも同様に生産終了が決まった。一部の放送局ではこれを導入しているところもあるが、おそらく発表前に顧客には通知されていると思うので、すでに移行作業が始まっているだろう。

 資料映像や録音を保管している国立国会図書館では、13年に「国立国会図書館資料デジタル化に係る基本方針」及び「資料デジタル化基本計画」を策定し、資料のデジタル化に着手している。メインはマイクロフィルムなどのテキスト資料だが、この段階からすでにアナログの映像および音声資料に関してもデジタル化していく方針が打ち出されていた。

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