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「想星のアクエリオン」のすべて キャラデザ決定の舞台裏から特殊な制作手法まで、糸曽監督にインタビュー

ITmedia NEWS / 2025年1月9日 11時17分

 当時、工藤さんは人気パズルゲームアプリ「ぷよぷよクエスト」(2021)のアニメーション監督も務めており、その経験から生まれたデフォルメ表現は非常に魅力的でした。

 それを見ていて「これくらいグラフィカルな方が動かした時も面白い。攻めていこう」と感じましたし、ストーリーもそこに当てていきました。そして、村井さんの意見も取り入れながら、工藤さんがその場でキャラクターを描いていき、個性的なキャラクターが誕生しました。脚本もキャラクターに合わせて書かれたんです。あのデザインだからこそ生まれたストーリーを、村井さんが作り上げてくれたと思っています。

 実はもっと攻めた案もあったのですが、今のアニメーターさんで、動かせる(アニメーションとしての動きがついた原画を描ける)人がほとんどいない、ということもわかったので、この案、つまりデザインはとがっているけど動きとしてはよく目にする形に落ち着いています。

【キャラクターデザイン工藤昌史氏によるコメント】

●キャラクターデザインの拘り

今回のデフォルメの効いたキャラクターについてですが、最初に監督から『サンタ・カンパニー ~真夏のメリークリスマス~』の流れで、デフォルメ系キャラクターでアクエリオンの濃い物語を表現したいとお話があり、面白いチャレンジだと思いました。そのためにデフォルメ方針のスタッフ間共有用の“手のポーズ集”などを作成したり、キャラ表に注釈を入れたりということをしました。

●苦労した点

監督のイメージや、村井さんのイメージ、人物設定が明確で迷うことはありませんでした。苦労というのではないですが、デフォルメ具合の検討のために、数パターン作成したものを会議にかけて決定するなど、今作ならではの手順を踏んだという思い出があります。

●注目してもらいたい点

ネタバレにならない範囲で言えることは、それぞれのキャラクターに用意されている設定や物語はかなり濃いので、ぜひお楽しみください。

糸曽:一方、1万2000年前の世界はちゃんと説得力のある物語にしないといけないと考え、そちらはがっちりリアルにしています。

――なるほど。現代的な世界観と、デフォルメされたキャラクターのルックを対比させることで、独特の雰囲気を生み出しているのですね

糸曽:はい。また各キャラクターの感情が欠落している理由も、過去の世界と深く関わっています。アクエリオンシリーズは、初代から続く世界観を共有しているのでそこに矛盾が生じないように、過去と現在のつながりを丁寧に描く必要がありました。今作では、1万2000年前の過去の世界で、天翅族が感情をやりとりするために使っていた「翅(はね)」が重要な役割を担っています。

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